
この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
「機内でナッツを提供しないで」――先日、海外の航空機内でピーナッツが提供されたことに対し、アレルギーを持つ乗客が強い危機感を訴えたニュースが大きな話題になりました。
これを見て「うちの子はピーナッツアレルギーじゃないから関係ないわ」と思ったパパ・ママも多いかもしれません。しかし、ピーナッツと同じようにごく微量でも命に関わる危険性があり、現在日本の子どもたちに「激増」しているのが『クルミ(木の実)』のアレルギーです。
あまりの急増ぶりに、2023年には国がルールを変え、食品パッケージへの「クルミ」の表示が義務化されたほどです。 この記事では医師監修のもと、ニュースで話題になった「飛行機などの密室空間でのアレルギーリスク」の真実や、急増するクルミアレルギーの恐ろしさ、そして「子どもにいつから食べさせるべきか」を分かりやすく解説します。
クルミアレルギーの概論

「木の実類」によるアレルギーを発症する割合が近年増加しております。木の実類にはクルミの他にもカシューナッツ、アーモンドが含まれます(ピーナッツは豆類なので別での扱いとなります)。
日本人の食物アレルギーの3大原因としては、これまでは鶏卵、乳、小麦でありましたが、2022年の調査により木の実類が小麦を越えて第3位となりました。
子供の食物アレルギーに関しても、ナッツ類、とくにクルミによるアレルギーの発症が急増しております。2020年の年齢別の食物アレルギーの新規発症の調査では、1~2歳では第3位であったナッツ類は、幼稚園に進む3~6歳では第1位とその割合と数が増加しております。
このナッツ類の内訳ではクルミが約62%と最も多く、ついでカシューナッツが約20%、アーモンドが約5%と続いています。
クルミアレルギーの増加の原因と今後の対応

クルミアレルギーが幼児以降で増加している理由としては、食文化の欧米化により、ナッツ類の消費量が増えていることが推定されております。
これに加えて、ハウスダストなどのホコリに、ナッツ類の成分が以前より多く含まれるようになり、それを取り込んでいるということも仮説としてあげられております。
こうした状況下で、令和5年3月9日付けで、食物アレルギーの義務表示対象品目(特定原材料)に「くるみ」が追加されることになりました。食品中にくるみを含む場合、他の7つのアレルゲンと同様に表示が義務付けられました。令和7年3月31日までは猶予期間とされ、同年4月1日より完全施工となるため、この期間においては必ずしも表示されていないこともあるため、各自で注意が必要です。
クルミの混入に注意すべき食品
クルミはナッツ類の中では、ブナ目クルミ科クルミ属、カシューナッツはムクロジ目ウルシ科カシューナットノキ属、アーモンドはバラ目バラ科サクラ属と分かれております。
ただ、1つのナッツ類にアレルギーがある場合、他のナッツ類(前述のものの他、マカデミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツなど)にもアレルギー反応を起こす可能性があります。
クルミは幅広い食品に入っていることも特徴の一つに挙げられます。
自分自身の経験では、間食で利用されるチョコレートや豆類に混入されていた、日本のおせち料理では田作り(小魚にクルミ)、外食のドレッシングにクルミが混入されていたという例をこの1年間で経験しました。
令和7年3月31日までは、くるみの食品表示がされていない可能性もあるため、とくに外食では注意を払う必要があります。
他のナッツ類でもアーモンドは洋菓子で使用するパウダーに、カシューナッツはカレーのルウに利用されていることから、ナッツ類のアレルギーにはより一層注意が必要です。
クルミアレルギーの診断

クルミアレルギーの診断としては、まずは問診でくるみアレルギーかどうか判断していきます。この時点で他のナッツ類に関しても問診を行います。
その後、補助診断とはなりますが、血液検査を行い、特異的IgE抗体(クルミ)に加えて、アレルギーを起こすとされているクルミのタンパク質であるJug r1(ジャグアールワン)の検査を、他のナッツ類の検査を含めて行っていきます。Jug r1検査が陽性であっても、症状が必ず生じるということではありませんが、確率としては高くなります。
ナッツ類のアレルギーは症状が重くなる傾向があります。
1品目除去する場合と2品目以上の除去を必要とする場合、食生活の質が大きく変化しますので、検索をされてみることをおすすめします。
クルミ(ナッツ類)はいつから食べさせるとよいか

消費者庁では、木の実類やピーナッツは誤嚥性肺炎・窒息のリスクがあるため、「かむ力が整う5歳までは控える」とコメントをしております。
ナッツ類は幼児食に粉末、粉、液体など形態を変え加工されています。このため、ナッツ類はそのままの形で食べるよりはまずは加工品から少量ずつトライするのがよいでしょう。また、初めて摂取するときは、医療体制が整っている平日の日中を推奨します。
クルミのアレルギーを発症した場合、経過は全身の皮膚の紅潮、呼吸困難などのアナフィラキシーでありますが、他食材と比べて呼吸困難が強く症状が長く続く傾向があり、多くは二次病院へ搬送して治療継続という例が多い印象であります。
クルミの誤食に備えて
クルミアレルギーは一度症状が発症すると重篤化する傾向があります。このため、アドネラリン(エピペン)の筋肉注射を家族が持っておいた方が安全です。
こちらは医療機関で処方が可能であります。また、副腎皮質ステロイドや抗ヒスタミン薬も併せて内服できるように準備をしておくとよいでしょう。
まとめ
近年木の実類、とくにクルミアレルギーの患者さんが急増しています。令和5年3月9日よりクルミの食品表示が義務付けられることになりましたが、クルミは幅広い食品に混入されているため外食などでは特に注意が必要です。
また乳幼児のお子さんをお持ちの方は、噛む力が付く5歳以降に少量ずつ与えてみて、アレルギーの有無を確認していくようにしましょう。
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