
この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
「食後に胸焼けがして辛い…」 「胃酸や酸っぱいものが喉まで上がってくる(呑酸)」 「みぞおちのあたりが痛くて夜眠れない」
このような不快な症状が続く場合、「逆流性食道炎」のサインかもしれません。 実はその辛い症状、あなたが毎日何気なく口にしている「飲み物」や「食事」、そして食後の「ちょっとした習慣」が悪化の原因になっている可能性があります。
逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流することで炎症が起きる病気です。食生活の欧米化などにより、現在では日本人の成人の10〜20%が抱えている身近な現代病でもあります。
この記事では医師監修のもと、逆流性食道炎の人が「食べてはいけない・飲んではいけない食事リスト」と「やってはいけないNGな生活習慣」、さらには「病院での治療や、気になる費用」を分かりやすく解説します。
逆流性食道炎で「食べてはいけない」食事・飲み物リスト

逆流性食道炎の辛い胸焼けや胃の痛みは、毎日の「食生活」が一番の引き金になります。 ここでは、胃酸を過剰に分泌させたり、食道と胃のつなぎ目(下部食道括約筋)を緩ませて逆流を引き起こしやすくする「NGな食べ物・飲み物」を具体的に紹介します。
ただし、これらはすべての方に同じように影響するわけではありません。症状が落ち着いている時期には少量であれば問題ないこともありますので、自分の症状の変化を観察しながら柔軟に調整することが大切です。
胃酸を増やし悪化させる「NGな食べ物」
以下の食べ物は、胃の中に長くとどまったり、胃酸をたくさん出させたりするため、症状が辛い時は避けるようにしてください。
脂っこいもの(揚げ物、霜降り肉、スナック菓子など) 脂肪分が多い食事は消化に時間がかかり、胃の中に長時間とどまります。その結果、胃酸が大量に分泌され、逆流のリスクが跳ね上がります。天ぷらやトンカツなどの揚げ物、脂身の多いお肉は控えましょう。
甘いもの(チョコレート、ケーキ、あんこなど) 糖分は胃酸の分泌を促進します。特に「チョコレート」には、食道と胃のつなぎ目の筋肉(下部食道括約筋)を緩ませる成分が含まれているため、逆流性食道炎の人にとってNGな代表的食べ物の一つです。
酸味の強いもの(みかん・レモンなどの柑橘類、梅干し、お酢など) 酸味が強い食べ物は、すでに胃酸で荒れて炎症を起こしている食道の粘膜を「直接」刺激してしまい、痛みを悪化させます。
香辛料(唐辛子、カレー、マスタードなど) 辛い食べ物や刺激の強いスパイスは、胃の粘膜を刺激して胃酸の分泌を過剰にしてしまいます。
トマト・玉ねぎ 意外かもしれませんが、トマトは酸味が強く、すでに荒れている食道を直接刺激しやすいため注意が必要です。また、生の玉ねぎは胃と食道のつなぎ目の筋肉(下部食道括約筋)を緩ませる作用があるため、胸やけの症状が強い時はなるべく控えましょう。
食道を刺激する「NGな飲み物」
飲み物の中にも、逆流性食道炎を悪化させる危険なものが潜んでいます。
コーヒー・濃い緑茶・紅茶 これらに含まれる「カフェイン」は、胃酸の分泌を増やすだけでなく、胃と食道のつばぎ目の筋肉を緩ませる作用があります。 筋肉が緩むことで、胃酸が食道へ逆流する「フタが開いた状態」になってしまうため、痛みが強い時はノンカフェインの麦茶や白湯(さゆ)などに変えましょう。
炭酸飲料 炭酸を飲むと、お腹にガスが溜まって「げっぷ」が出やすくなります。げっぷが出る瞬間は胃の入り口が開くため、そのタイミングで胃酸も一緒に食道へ逆流してしまいます。
アルコール(お酒) アルコールもカフェインと同様に、筋肉を緩ませて胃酸の逆流を引き起こす大きな原因です。特にビールやチューハイなどの「炭酸のお酒」は、げっぷも誘発するため二重の意味でNGです。
胸焼けが辛いときに「食べてもいい」消化の良い食事
「じゃあ、何をたべればいいの?」と悩んでしまう方のために、胃への負担が少なく、逆流性食道炎のときに食べてもいい(おすすめの)食材をご紹介します。
主食: うどん(※よく煮込んだもの)、おかゆ、食パン
たんぱく質: 豆腐、白身魚、鶏のささみや胸肉(皮なし)、半熟卵
野菜: キャベツ、白菜、大根、ほうれん草、じゃがいも
果物: バナナ、りんご
【調理のポイント】 同じ食材でも、油で「揚げる」「炒める」と消化が悪くなります。できるだけ「茹でる」「蒸す」「煮る」といった、油を使わない調理法を選ぶのが、辛い症状を早く和らげるコツです。
逆流性食道炎で「やってはいけない」NGな生活習慣

逆流性食道炎を悪化させるのは食べ物だけではありません。日々の何気ない姿勢や習慣が、胃を圧迫して胃酸を物理的に押し上げてしまっているケースが非常に多くあります。 ここでは、日常でやってはいけないNG行動を解説します。
食後すぐに横になる(食べてすぐ寝るのは絶対NG!)
食事の直後は胃酸が最も多く分泌されている状態です。このタイミングで横になってしまうと、重力で下に留まっていた胃酸が、スルスルと食道の方へ流れ込みやすくなります。
対策: 食後、最低でも「2〜3時間」は横にならず、座った状態や立った状態をキープしましょう。夕食も、就寝の2〜3時間前までには済ませるのが鉄則です。
【※寝る時のワンポイントアドバイス※】 どうしても夜間に胸焼けがして辛い時は、「体の左側を下にして寝る」のがおすすめです。胃は体の左側に向かってカーブして膨らんでいるため、左を下にして寝ると胃酸が食道へ逆流しにくくなります。また、クッションや少し高めの枕を使って、上半身を少し高くして寝るのも効果的です。
お腹を締め付ける服装・前かがみの姿勢
胃の外側から物理的な圧力(腹圧)がかかると、胃袋が押し潰されて胃酸が逆流してしまいます。
NGな服装: きついベルト、コルセット、サイズの合わない下着や細身のズボンなど、お腹をギュッと締め付ける服装は避け、ゆったりとした服を選びましょう。
NGな姿勢: デスクワークでの猫背、草むしりや掃除などの「前かがみの姿勢」も、胃を強く圧迫するため要注意です。重いものを持ち上げる動作も腹圧が一気にかかるため、痛みが強い時は控えましょう。
肥満・喫煙(タバコ)による悪影響
体型や嗜好品も、逆流性食道炎に直結しています。
肥満(内臓脂肪): お腹に脂肪がついていると、24時間常に胃が圧迫されている状態になります。ぽっこりお腹が気になっている方は、少し減量するだけで劇的に胸焼けが改善することがあります。
喫煙(タバコ): タバコに含まれるニコチンには、胃と食道のつなぎ目の筋肉(下部食道括約筋)を緩ませる作用があります。さらに、胃酸の分泌を増やし、逆に胃酸を中和してくれる「唾液」の量を減らしてしまうため、逆流性食道炎の人にとって百害あって一利なしです。これを機に禁煙を目指しましょう。
そもそも逆流性食道炎とは?原因とチェックしたい症状

ここまで「やってはいけないNG行動」を解説してきましたが、そもそもなぜ逆流性食道炎になってしまうのでしょうか?病気の仕組みを知ることで、食事や生活習慣を改善する重要性がより深く理解できるようになります。
なぜ胃酸が上がる?「下部食道括約筋」の緩みが原因
食道と胃の境目には、「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉のフタ(ドア)があります。 通常、このフタは食べ物が通る時以外はピタッと閉じており、食べ物を溶かすほど強力な酸性である「胃酸」が、食道へ逆流するのを防いでくれています。
しかし、加齢による筋肉の衰えや、先ほど紹介したような「NGな食生活・生活習慣(脂っこい食事、肥満、猫背など)」が原因でこの筋肉が緩んでしまうと、フタが開きっぱなしの状態になってしまいます。 その結果、胃酸が食道へと逆流し、酸に弱い食道の粘膜を荒らして炎症を起こしてしまうのです。
こんな症状があったら要注意(逆流性食道炎のサイン)
逆流性食道炎の症状は人によってさまざまですが、特に食後や横になった時、前かがみの姿勢をとった時に以下のような症状が出やすいのが特徴です。
胸やけ 胸のあたり(胸骨の裏側)がヒリヒリ、ジリジリと熱く焼けるような不快感があります。
呑酸(どんさん) 酸っぱい液体や、苦い胃液がのどや口の中までこみ上げてくる感覚です。げっぷと一緒に上がってくることもよくあります。
みぞおちの痛み 胃のあたりがチクチク痛んだり、ズーンと重苦しくなったりします。
のどの違和感・長引く咳(※意外と多い症状です) 逆流した胃酸がのどや気管支を刺激することで、のどがイガイガしたり、声がかすれたりします。風邪ではないのに「コンコン」という空咳(からせき)が長く続く場合、実は逆流性食道炎が原因だったというケースも少なくありません。
上記の症状に複数当てはまる場合は、逆流性食道炎の可能性が高いと言えます。
逆流性食道炎の治療法と気になる費用

「食事や生活習慣に気をつけても胸焼けが治らない」「痛くて夜も眠れない」という場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。逆流性食道炎は、適切なお薬を飲めばしっかりと症状を抑えられる病気です。
消化器内科での薬物療法(胃酸を抑える薬)
逆流性食道炎の診察は、主に「消化器内科」や「胃腸科」で行われます。
病院での治療の基本は、胃酸の分泌を強力に抑えるお薬(PPIやP-CABと呼ばれる胃酸分泌抑制薬)を使った「薬物療法」です。 これらの薬を飲むことで、食道へ逆流する胃酸の量そのものを減らし、すでに酸で荒れてしまった食道の粘膜が修復されるのを助けます。多くの場合、薬を飲み始めて数日〜1週間程度で、辛い胸焼けや呑酸といった自覚症状はスッと軽くなります。
※症状が重い場合や、他の病気(胃潰瘍や胃がんなど)が疑われる場合は、口や鼻から細いカメラを入れる「胃カメラ(内視鏡)検査」を行って、食道の炎症の度合いを直接確認することがあります。
治療期間の目安と気になる費用(3割負担の場合)
【治療期間の目安:約8週間(2ヶ月)】
自覚症状がすぐになくなったからといって、食道の粘膜が完全に治ったわけではありません。自己判断で薬をやめるとすぐに再発してしまうため、一般的には約8週間(2ヶ月)ほど薬を飲み続けて、しっかりと炎症を治し切ることが推奨されています。
【費用の目安】
健康保険(3割負担)が適用される場合、初診料や処方箋料、数週間分の薬代を合わせても、1回の通院につき「約2,000円〜4,000円前後」に収まることがほとんどです。 初診時に胃カメラ検査を行う場合は、約5,000〜10,000円程度(施設や検査内容により異なる)の検査費用が追加でかかります。
市販の胃薬を何箱も買い続けて一時凌ぎをするよりも、病院でよく効く処方薬をもらった方が、結果的に早く安く確実に治すことができる可能性が高いでしょう。
逆流性食道炎に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、逆流性食道炎で悩む方からよく寄せられる5つの疑問に医師がお答えします。
Q1. 牛乳やヨーグルトなどの乳製品は食べてもいいですか?
A. 「低脂肪」のものであれば適量食べても問題ありませんが、摂りすぎには注意が必要です。 牛乳を飲むと胃の粘膜に膜が張られ、一時的に胸やけがスッと楽になることがあります。しかし、特に高脂肪の乳製品では「脂肪分」や「カルシウム」は、後になってから胃酸の分泌を増やす働きがあるため、飲みすぎるとかえって逆効果になります。食べる場合は、脂肪分の少ない低脂肪乳やプレーンヨーグルトを選びましょう。
Q2. 水をたくさん飲めば、胃酸が薄まって楽になりますか?
A. コップ1杯程度の水を少しずつ飲むのは効果的ですが、「がぶ飲み」はNGです。 胸やけが辛い時に少量の水をこまめに飲むと、食道に逆流した胃酸を胃に洗い流してくれるため、症状が和らぎます。しかし、一度に大量の水をがぶ飲みしてしまうと、胃がパンパンに膨らんでしまい、余計に胃酸が逆流しやすくなるため逆効果です。
Q3. 市販の胃薬で治せますか?
A. 一時的に症状を抑えることはできますが、根本的な治療には病院の処方薬が必要です。 薬局で買える「H2ブロッカー(ガスター10など)」は胃酸を抑える効果があり、急な胸やけの応急処置としては有効です。しかし、病院で処方される薬に比べると効果はマイルドなため、完全に食道の炎症を治し切るのには限界があります。市販薬を数日飲んでもスッキリしない場合は、漫然と飲み続けずに消化器内科を受診してください。
Q4. ストレスも逆流性食道炎の原因になりますか?
A. はい、大きな原因の一つになります。 仕事や人間関係などで強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、胃酸が過剰に分泌されやすくなります。さらに、ストレスによって食道の粘膜が「知覚過敏」の状態になり、少量の胃酸が逆流しただけでも強い痛みを感じやすくなってしまいます。休日はしっかりリフレッシュし、十分な睡眠をとることも大切な治療です。
Q5. 逆流性食道炎は一生治らない病気ですか?完治しますか?
A. 薬と生活改善で「完治(症状がなくなり、粘膜がきれいになる状態)」を目指せます。 ただし、お薬で食道の炎症が綺麗に治っても、原因となった「NGな食事や生活習慣(脂っこい食事、食後すぐ寝る、肥満など)」を元に戻してしまうと、高い確率で再発を繰り返してしまいます。一生付き合っていく病気にしないためには、一時的な薬頼みではなく、長期的な生活習慣の見直しが不可欠です。
まとめ
逆流性食道炎の辛い症状を和らげるためのポイントを振り返ります。
脂っこいもの、甘いもの(特にチョコレート)、コーヒー、お酒は控える。
食事は腹八分目にし、消化の良いもの(うどんや豆腐など)を選ぶ。
食後「2〜3時間」は絶対に横にならず、寝る時は左側を下にする。
お腹を締め付ける服装や、猫背などの前かがみの姿勢を避ける。
自己判断で薬をやめず、病院で処方された薬を約2ヶ月間しっかり飲み切る。
逆流性食道炎は、あなたの毎日の「生活習慣」を見直すことで必ず改善に向かいます。 「もしかして逆流性食道炎かも?」と心当たりのある方や、胸やけで夜も眠れないほど辛い方は、我慢せずに早めにお近くの消化器内科を受診して、医師に相談してくださいね。
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