
この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
「トイレに行ったら便に血が混じっていた…」 「最近、便が細くなった気がするし、お腹もよく痛くなる」 「もしかして、大腸がんのサインなのでは?」
体に普段と違う異変が起きると、パニックになり強い不安を感じてしまいますよね。 結論から言うと、血便や腹痛があるからといって、必ずしも大腸がんであるとは限りません(痔や一時的な胃腸炎のケースも多くあります)。しかし、大腸がんは「早期発見」さえできれば、高い確率で完治を目指せる病気です。だからこそ、自分の体の小さなサインを見逃さないことが何よりも重要になります。
この記事では医師監修のもと、大腸がんが疑われる「初期症状(便の異常や腹痛など)」の具体的なセルフチェックポイントを分かりやすく解説します。 さらに、大腸がんになりやすい人の特徴(リスク要因)や、不安な時に受けるべき検査についても紹介していきます。
まずはセルフチェック!大腸がんを疑うべき5つの初期症状

大腸がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多い病気です。しかし、ポリープやがんが少しずつ大きくなってくると、便の通り道(大腸)に変化が起き、日々のトイレや体調に小さなサインがあらわれ始めます。
まずは、今のあなたに以下の「5つの初期症状」が当てはまっていないか、セルフチェックしてみましょう。これらは癌を自覚する最初の症状ではありますが、癌が初期(早期)であることを意味しません。むしろ進行していることが多いです。
① 便に血が混じる・トイレットペーパーに血がつく(血便・下血)
大腸がんの症状として最も多く、そして多くの方が最初に気づくサインが「血便」です。 がんの表面はもろく出血しやすいため、そこを便が通過する際にこすれて血が混じります。 便の表面に赤い血が筋のようについていたり、全体に赤黒い血が混ざっていたり、拭いたペーパーに血がつくなどの症状があらわれます。目で見て明らかに血だとわかるケースもあれば、黒っぽい便(赤黒い便)として出ることもあります。
② 便が細くなる・スッキリ出ない(残便感)
「最近、鉛筆のように細い便しか出ない」という場合も要注意です。 大腸の内側にがん(腫瘍)ができると、それが邪魔をして便の通り道が狭くなってしまいます。 その狭い隙間を無理やり便が通り抜けるため、押し潰されたように細い便になってしまうのです。 また、便を出し切ったはずなのに「まだお腹に残っている感じがする(残便感)」というのも、がんが便の出口付近を塞いでいるサインの可能性があります。
③ 下痢と便秘を繰り返す
普段は快便だったのに、急に「下痢」と「便秘」を交互に繰り返すようになった場合も、大腸がんが疑われる症状の一つです。 がんによって腸の中が狭くなると、固い便はそこを通れずに詰まってしまいます(便秘)。すると今度は、腸がなんとか中身を出そうとして、水分の多い液状の便だけがその隙間をすり抜けて出てくるため、結果的に下痢になります。
④ 原因不明の腹痛・お腹の張り
がんが大きくなって腸管が狭くなると、便やガス(おなら)がスムーズに外へ出られず、腸の中に溜まりやすくなります。 その結果、「常にお腹が張って苦しい」「腸がギュッと締め付けられるような、または差し込むような腹痛が続く」といった症状があらわれます。
⑤ 貧血や、急激な体重減少
「めまいや立ちくらみがひどい」「階段を登るだけで息切れがする」といった貧血の症状から、大腸がんが見つかるケースもあります。これは、がんから少しずつジワジワと出血が続き、気づかないうちに体内の血液が失われているためです。 また、ダイエットをしているわけでもないのに「急に体重が減ってきた」という場合は、がんが体内の栄養を奪って進行しているサインの可能性があるため、一刻も早い受診が必要です。
「血便=大腸がん」ではない?痔や他の病気との見分け方

便に血が混じっているのを見ると、「大腸がんかもしれない…」とパニックになってしまう方がほとんどです。 しかし、血便が出たからといって必ずしも大腸がんというわけではありません。実は、血便の原因として最も多いのは「痔(じ)」です。
ここでは、大腸がんによる出血と、痔やその他の病気による出血の見分け方の「目安」をご紹介します。
大腸がんの血と、痔の血(鮮血)の違い
出血している場所(胃腸のどの部分か)によって、便に混じる血の色や状態は大きく変わります。
【痔(いぼ痔・切れ痔)の場合】 肛門のすぐ近くからの出血のため、「真っ赤な血(鮮血)」が出ます。ポタポタと便器が赤く染まったり、トイレットペーパーに真っ赤な血がついたり、便の表面に血が付着していることが多いのが特徴です。排便時に痛みを伴うこともよくあります。
【大腸がんの場合】 がんが大腸の奥(肛門から遠い場所)にできている場合、出血してから排出されるまでに時間がかかるため、血が酸化して「赤黒い血」や「どす黒い便」になることがあります。また、便の表面だけでなく、便の中に血が練り込まれるように混ざっていることも特徴です。
【※注意!】自己診断は大変危険です 「真っ赤な血だから痔だろう」と安心するのは大変危険です。なぜなら、肛門のすぐ近くにできる「直腸がん」の場合は、痔とまったく同じような「真っ赤な血(鮮血)」が出るからです。血便の色だけで「がんか、痔か」を100%見分けることは医師でも不可能なため、血便が出たら診察を受けることを強く勧めます。
大腸がん以外で血便・腹痛が起こる病気
痔以外にも、血便や腹痛を引き起こす病気はいくつかあります。
感染性腸炎(食中毒やウイルス感染など)
細菌やウイルスに感染することで、急激な激しい腹痛、下痢、嘔吐とともに血便が出ることがあります。潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に慢性的な炎症や潰瘍ができる指定難病です。20代〜30代の若い世代にも多く、ドロッとした粘液に血が混じった便(粘血便)が長期間続くのが特徴です。大腸憩室出血
大腸の壁の一部が外側にポコッと飛び出した袋(憩室)の血管が破れて出血する病気です。腹痛はないのに、突然ドバッと大量の真っ赤な血(または赤黒い血)が出るのが特徴で、中高年に多く見られます。虚血性腸炎
突然お腹が痛くなり便意をもよおします。トイレに行っても便が出にくく、しばらくすると下痢になります。その後血便が出てくる、というのが典型的な症状です。腸の周りの血流が悪くなり、粘膜が壊死することによって血便がでます。高齢者に多いとされていましたが、若い人でもよく見られます。
このように、大腸がん以外にも治療が必要な病気が隠れているケースは多々あります。「たぶん痔だろう」「一時的なものだろう」と放置しないことが何より大切です。
どんな人がなりやすい?大腸がんのリスクが高まる年齢と特徴

大腸がんは、年齢や日々の生活習慣が発症に大きく関わっている病気です。 もし、先ほど紹介した「血便」や「便の異常」などの初期症状があり、さらに以下の特徴に当てはまる場合は、大腸がんのリスクが通常よりも高いため特に注意が必要です。
「40代・50代」から発症リスクが急増する
大腸がんは、年齢を重ねるごとに発症する確率が高くなります。特に40歳代から徐々に発症リスクが高まり始め、50代・60代になるとさらに急激にリスクが跳ね上がります。
そのため、40歳以上の方は、市区町村や職場で実施される健康診断の「大腸がん検診(便潜血検査)」を毎年必ず受けることが推奨されています。「まだ若いから大丈夫」「ただの便秘だろう」と油断せず、40代以降で便に異常を感じた場合は早めに検査を受けましょう。
食生活(赤身肉・加工肉の食べ過ぎ)や肥満・喫煙
日々の食生活や嗜好品も、大腸がんの強力なリスク要因(危険因子)になります。以下の習慣がある方は要注意です。
動物性たんぱく質・脂質の摂りすぎ: 牛肉や豚肉などの「赤身肉」、ハムやソーセージ、ベーコンといった「加工肉」をたくさん食べる習慣がある人は、大腸がんになりやすいことが国内外の研究で明らかになっています。
肥満: 特に男性において、肥満は大腸がんの確実なリスク要因とされています。
過度な飲酒と喫煙: お酒の飲み過ぎやタバコも、腸の細胞の遺伝子にダメージを与え、がんを発生しやすくさせます。
食生活の欧米化が進んだことが、近年日本で大腸がんの患者数が急増している最大の原因とも言われています。
家族に大腸がんになった人がいる(遺伝的要因)
大腸がんには、遺伝的な体質が影響するケースもあります。 ご両親や兄弟姉妹などの近親者に大腸がんになった人がいる場合は、そうでない人に比べて自分も大腸がんになるリスクが高いことがわかっています。
家族歴がある方は、たとえ40歳未満であっても、便の異常や腹痛などのサインを見逃さず、少しでも気になる症状があれば医療機関に相談することをおすすめします。
症状があったら何科を受診するべき?必要な検査と費用

「血便が出た」「便が細い」などの気になる症状が続く場合は、恥ずかしがらずに、そして怖がらずに、なるべく早く医療機関を受診してください。早期発見できれば、大腸がんは決して怖い病気ではありません。
迷わず「消化器内科」または「胃腸内科」へ
大腸がんの疑いがある場合、受診すべきは「消化器内科」や「胃腸内科」です。 もし、「どうしても痔だと思うけれど不安」という場合は、「肛門科」と「消化器内科」の両方を標榜しているクリニックを選ぶと、痔の診察と大腸の検査を一度に行ってもらえるためスムーズです。
怖くない!大腸カメラ(内視鏡)検査で早期発見を
大腸がんを正確に診断するためには、肛門から細いカメラを入れて大腸の内部を直接観察する「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」が必要です。
「大腸カメラ=痛い、苦しい、恥ずかしい」というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、近年は鎮静剤(眠くなるお薬)を使って、ウトウトと眠っている間に全く痛みを感じることなく検査を終えられるクリニックが主流になっています。 少しでも不安がある方は、「鎮静剤あり・無痛大腸カメラ」を行っているクリニックを選ぶのがおすすめです。
気になる大腸カメラ検査の「費用の目安」
検査を受けるにあたって、費用の不安も大きいですよね。健康保険(3割負担)が適用された場合の大腸カメラ検査の目安は以下の通りです。
観察(検査)のみの場合: 約5,000円〜7,000円前後
検査中にポリープが見つかり、その場で切除した場合: 約20,000円〜30,000円前後(※切除する数や大きさによって変動します)
大腸カメラは、がんになる前の「ポリープ」の段階で見つけてその場で切除できる、非常に優秀な検査です。数千円〜数万円の出費で将来の命を守れると考えれば、決して高いものではありません。
【もし大腸がんが見つかった場合の治療費は?】
「もし本当にがんで、手術や抗がん剤になったらどれくらいお金がかかるの?」と不安な方へ。大腸がんのステージごとの生存率や、本格的な治療にかかる『詳しい治療費用の目安』については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎ [大腸がんの治療費はいくら?ステージ別の手術・抗がん剤費用と高額療養費制度]
大腸がんの初期症状に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、便の異常や腹痛などで「もしかして大腸がんかも」と不安を抱えている方からよく寄せられる5つの疑問に医師がお答えします。
Q1. 初期症状が全くないまま進行することはありますか?
A. はい、大腸がんは初期の段階では自覚症状が「全くない」のが普通です。 血便や腹痛といった初期症状があらわれるのは、がんがある程度の大きさに育ってからです。だからこそ、症状がないうちから毎年「便潜血検査(検便)」を受け、ポリープやごく早期のがんのうちに発見することが非常に重要になります。
Q2. 健康診断の「便潜血検査」が陰性(異常なし)なら100%安心ですか?
A. 100%安心とは言えません。症状があるなら大腸カメラが必要です。 便潜血検査は「たまたまその便に血が混じっていたか」を調べるだけの検査です。がんは常に出血しているわけではないため、がんがあるのに「陰性」と出てしまうケース(偽陰性)が一定数存在します。もし陰性であっても、実際に目で見て血便が出ている場合や、便が細いなどの症状が続いている場合は、必ず消化器内科を受診してください。
Q3. 20代や30代の若者でも大腸がんになることはありますか?
A. 確率は低いですが、決してゼロではありません。 大腸がんは40代から徐々にリスクが上昇し、50代以降に急増しますが、遺伝的な要因(家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など)により、20代〜30代で発症する方もいます。「まだ若いからただの痔だろう」と思い込んで放置し、発見が遅れてしまうケースが若年層では問題になっています。年齢を問わず、血便が続く場合は一度検査を受けるべきです。
Q4. おならがよく出る・臭いのは大腸がんのサインですか?
A. 直接的ながんのサインとは限りませんが、腸内環境が悪化している証拠です。 おならが臭い原因の多くは、便秘や、肉類(動物性たんぱく質)の食べ過ぎによる悪玉菌の増加です。ただし、症状が進行した場合、大腸がんによって腸が狭くなり、便が長時間お腹に滞留することで、ガスが異常発生して臭いがきつくなることもあります。血便や腹痛を伴う場合は要注意です。
Q5. 女性の大腸がんが増えているというのは本当ですか?
A. 本当です。現在、女性の「がんによる死亡原因の第1位」は大腸がんです。 「大腸がんは男性に多い」というイメージを持たれがちですが、実は女性にとっても非常に危険な病気です。女性の場合、便秘や下腹部の痛みを「いつもの便秘」「婦人科系の不調」と勘違いしやすいうえに、「恥ずかしくて肛門科や胃腸科に行けない」と受診をためらっているうちに進行してしまうケースが多いのが現状です。女性医師が検査を担当するクリニックも増えていますので、我慢せずに受診してください。
まとめ
大腸がんを見逃さないために、今回ご紹介した初期症状のセルフチェックを振り返りましょう。
便に血が混じる、トイレットペーパーに血がつく(真っ赤な血でも油断は禁物)
便が細くなる、残便感がある
急に下痢と便秘を繰り返すようになった
原因不明の腹痛やお腹の張りが続く
めまい(貧血)や急激な体重減少がある
血便が出たからといって「=大腸がん」というわけではなく、痔や他の腸炎であるケースも多くあります。しかし、「がんか、痔か」を自分の目だけで判断するのは極めて危険です。
大腸がんは、早期に発見できれば決して怖い病気ではありません。少しでも便や体調に異変を感じたら、一人で不安を抱え込まずに、早めに消化器内科や胃腸内科を受診して「大腸カメラ」を受けましょう。
読者への医師コメント
大腸がんは比較的発見しやすく、また早期に治療を行うと完全に治ることが期待できます。一方で、進行すると転移、再発をおこし治りにくくなりますし、がんの場所によっては人工肛門となり生活の質が下がってしまいます。がんの対策として大切なことは、がんになりにくくするための予防(一次予防)、そして早期発見、早期治療(二次予防)です。最近では苦痛を最小限に抑えて検査を受けられるよう、さまざまな工夫が各医療施設で行われています。少しのサインも見逃さずに検査を受け、長く健やかに過ごせるように努めてまいりましょう。
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