
この記事はメディコレ監修医師による監修済みです。
「最近よく眠れない…」「日中、気絶しそうなほど眠い…」 いざ病院に行こうと思っても、「内科?精神科?それとも耳鼻科?いったい何科を受診すればいいの?」と迷ってしまい、結局そのまま放置している方は非常に多いのではないでしょうか。
実は、そんな「睡眠迷子」の患者さんを救うための大きな変化が起ころうとしています。 2026年3月6日、厚生労働省は病院の看板に「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」といった名称を掲げることを了承しました。
本記事では、この18年ぶりの歴史的な制度変更によって「私たちの病院選びがどう変わるのか」、そして「新しい科ができるまでの間、今は何科を受診すべきか」を、専門医の監修のもと分かりやすく解説します。
【この記事のポイント】
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なぜ「睡眠障害」の看板が増えるの?「何科に行けばいいか分からない」が最大の課題だった

日本人の5人に1人が睡眠に悩んでいる
睡眠障害とは、不眠症・過眠症(日中の強い眠気)・睡眠時無呼吸症候群(寝ている間に呼吸が止まる病気)・体内時計のズレによる睡眠リズムの乱れなど、睡眠に関連するさまざまな病気の総称です。
日本では睡眠に関する悩みを持つ人が非常に多く、5人に1人が何らかの睡眠の問題を抱えているとされています。日本睡眠学会が2023年11月に行った調査(20〜70代の約3,600人が対象)では、6割が眠りに何らかの課題を感じていると答えています。
また、国際機関OECDの2021年の集計によると、日本人の平均睡眠時間は約7時間20分で、調査対象となった約30の国・地域の中で最も短く、全体の平均より約1時間少ない状況です。睡眠不足は仕事の効率を下げるだけでなく、事故のリスクを高めるなど、社会全体への影響も指摘されています。
「どこを受診すればいいかわからない」が最大の課題
睡眠障害の治療は現在、原因や症状によって担当する科がバラバラです。不眠症なら精神科・心療内科、睡眠時無呼吸症候群なら呼吸器内科・耳鼻咽喉科、過眠症なら神経内科など、患者さんは自分の症状がどの科に当てはまるか判断しにくい状況でした。
日本睡眠学会は「睡眠医療体制の最大の課題は、どこを受診してよいかわからないことだ」と訴え、2025年4月に診療科名への「睡眠障害」追加を厚生労働省に正式に要望。精神神経学会・呼吸器学会・循環器学会・神経学会・耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・小児科学会という6つの関連学会からも賛同を得ていました。
※要注意「睡眠障害科」という単独の科ができるわけではない?
病院の看板や広告に掲げられる診療科名は、医療法という法律によって細かく規制されています。どんな名前でも自由に名乗れるわけではなく、国が認めた名称しか使えません。
現在、「内科」「外科」「小児科」「精神科」などのように単独で使える診療科名が約20種類あります。これらは1948年の医療法制定時から認められているものや、その後追加されたものです。
さらに、こうした基本の科名と組み合わせて使える言葉も別に定められています。「呼吸器」「腎臓」「腫瘍」「糖尿病」「感染症」「美容」などがその例です。今回「睡眠障害」が追加されるのはこの「組み合わせ用」の区分で、2008年の見直し以来、18年ぶりの改定となります。
【追加が想定される診療科名の例】
睡眠障害内科、睡眠障害精神科、睡眠障害小児科、内科(睡眠障害)、精神科(睡眠障害)など
「睡眠障害」単独での科名は認められませんが、既存の科名と組み合わせることで、患者さんが「睡眠の悩みを診てもらえる病院だ」とひと目で分かるようになります。
いつから変わる?新しい看板「睡眠障害〇〇科」は2026年夏ごろから

2026年3月6日に厚生労働省の専門部会が方針を了承したことで、今後は以下の手順で正式決定に向けて進んでいきます。
時期 | 内容 |
|---|---|
2026年3月6日 | 厚生労働省専門部会が方針を了承(今回のニュース) |
2026年春ごろ | 各学術団体からの意見を集める |
2026年春〜夏 | 広く一般からの意見募集(パブリックコメント)を実施 |
2026年夏ごろ | 法令改正・正式施行(目標) |
新制度のメリットは?「睡眠の悩みはココ!」という共通の目印ができ、迷わず病院に行けるように
今回の制度変更で最も大きく変わるのは、「受診先を探しやすくなる」という点です。
現状では「眠れなくて困っている」と思っても、呼吸器内科・循環器内科・脳神経内科・耳鼻咽喉科・精神科など、担当する科が症状や原因によってバラバラなため、どこに行けばいいか分からず受診をためらう人が少なくありませんでした。
「睡眠障害内科」「睡眠障害呼吸器内科」「睡眠障害脳神経内科」などの科名が病院の看板に表示されるようになれば、症状がどんな原因であっても「眠りの悩みはここに行けばいい」という共通の目印になります。早めに受診することで、重症化や慢性化を防ぐことにもつながる可能性があります。
睡眠障害の主な種類と、これまでの受診先
種類 | 主な症状 | これまでの受診先 |
|---|---|---|
不眠症 | 寝つけない・夜中に目が覚める | 内科・精神科・心療内科 |
過眠症・ナルコレプシー | 日中に強烈な眠気が起きる | 内科・精神科・神経内科 |
睡眠時無呼吸症候群 | 寝てる間に呼吸が止まる・いびき | 呼吸器内科・耳鼻咽喉科・内科 |
概日リズム睡眠障害 | 昼夜が逆転しがち・体内時計のズレ | 精神科・心療内科・神経内科 |
※受診先は症状・原因によって異なります。自己判断せず、まずはかかりつけ医に相談することをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q 「睡眠障害内科」はいつから受診できるようになりますか?
A 厚生労働省は2026年夏ごろの施行を目指しています。正式決定には学術団体への意見聴取と一般からの意見募集(パブリックコメント)が必要なため、実際に病院の看板に表示されるのは2026年夏以降になる見込みです。
Q 睡眠障害かどうか、今すぐ調べることはできますか?
A 現時点でも、不眠や日中の強い眠気などの症状があれば、内科・精神科・心療内科・呼吸器内科などで相談できます。受診先に迷う場合は、まずかかりつけ医に症状を伝えて紹介してもらうのがおすすめです。
Q 睡眠障害はどんな症状があったら受診すべきですか?
A 「1ヵ月以上、週3日以上眠れない夜が続く」「日中に強烈な眠気があって生活に支障がある」「寝ている間に呼吸が止まると指摘された」「いびきが非常に大きい」などの症状が目安です。睡眠の問題が日常生活に影響しているなら、一度医師に相談することをお勧めします。
Q 「睡眠障害○○科」ができたら、今の担当科に行く必要はなくなりますか?
A いいえ。これはあくまで診療科名の表示方法の変更であり、担当する医師や治療内容が変わるわけではありません。呼吸器内科・循環器内科・脳神経内科など、これまで通りのベースとなる診療科が診療を担います。「睡眠障害○○科」の看板は、患者さんが受診先を見つけやすくするための目印です。どの科を受診すべきかは、かかりつけ医に相談してください
Q 睡眠不足と睡眠障害はどう違いますか?
A 睡眠不足は主に生活習慣(夜更かし・長時間労働など)が原因で、睡眠時間を確保すれば改善します。一方、睡眠障害は体や脳の機能的な問題が原因で、十分な時間を確保しても眠れない・休めないなどの症状が続きます。生活を見直しても改善しない場合は睡眠障害の可能性があり、医療機関への受診が勧められます。
まとめ:「睡眠障害○○科」が病院の看板に並ぶ時代へ
厚生労働省の専門部会が、病院の看板や広告に使える診療科名に「睡眠障害」を加える方針を了承しました。「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」などの表示が可能になることで、眠りの悩みを抱える患者さんが受診先を探しやすくなることが期待されます。
診療科名の見直しは2008年以来18年ぶり。5人に1人が睡眠に悩む日本において、適切な医療へのアクセスを改善するための大きな一歩といえます。今後、意見募集を経て2026年夏ごろの正式施行を目指します。
「最近眠れない」「日中ひどく眠くなる」「パートナーにいびきがひどいと言われた」——そんな悩みがある方は、今後の診療科名の変更を待たずに、まずはかかりつけ医に相談してみてください。
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参考資料
・厚生労働省 医道審議会 診療科名標榜部会(2026年3月6日)取りまとめ









