
この記事はメディコレWEBを通じた医師監修を受けています。
💡 この記事でわかること |
|---|
|
2026年3月、奈良県でジャガイモによる食中毒が発生し、家族3人が喉の違和感や吐き気を訴えました。直近では2024年7月の鳥取県での事例など、近年も散発的に報告が続いています。
ジャガイモは毎日の食卓に欠かせない野菜ですが、発芽部分や緑色に変色した部分には「ソラニン」「チャコニン」と呼ばれる天然毒素が多く含まれています。厄介なことに、これらは加熱してもほとんど分解されません。
この記事では、今回の事例の概要とともに、ソラニンの危険性・食中毒の症状・正しい予防・保存方法を医師監修のもとわかりやすく解説します。
2026年3月・奈良県の食中毒事例

奈良県によると、県内在住の家族3人が2026年3月15日に自宅で調理したポトフを食べたところ、全員が喉の違和感を訴え、うち1人は吐き気を発症しました。3人は入院せず、全員すでに回復しています。
調理に使用されたジャガイモの残品に緑変部分が確認され、高濃度のソラニン類が検出されたことから、ジャガイモによる食中毒と断定しました。
項目 | 内容 |
|---|---|
発生日 | 2026年3月15日 |
発生場所 | 奈良県(自宅) |
患者数 | 家族3人(20代男性1人・50代男女) |
症状 | 喉の違和感(全員)、吐き気(1人) |
重症者 | なし(全員回復) |
原因食品 | 自宅で調理したポトフ(緑変ジャガイモを使用) |
原因物質 | ソラニン類(高濃度検出) |
直近の国内事例 | 2024年7月・鳥取県(約2年ぶり) |
ソラニン・チャコニンとは?なぜ危ないのか
ジャガイモには「グリコアルカロイド」と呼ばれる天然毒素が含まれており、その主成分が「α-ソラニン」と「α-チャコニン」です。これらは植物が自らを害虫や病原菌から守るために生成する成分で、ヒトが一定量以上摂取すると食中毒を引き起こします(農林水産省)。
ソラニン類が多く含まれる部位
部位 | ソラニン類の含有量(目安) | 注意点 |
|---|---|---|
通常の可食部 | 約7.5mg/100g(平均) | 通常の食べ方では問題になりにくい |
皮の周辺 | 可食部の3〜8割が皮付近に集中 | 皮を厚めにむくことが重要 |
緑色に変色した部分 | 100mg以上/100g | 通常の13倍以上。食べないこと |
発芽部分・芽の付け根 | 1,500〜3,000mg/kg | 最も高濃度。確実に取り除くこと |
出典:農林水産省「食品中の天然毒素ソラニン・チャコニンに関する情報」、食品安全委員会
加熱しても分解されない
ソラニン・チャコニンは加熱によってほとんど分解されません。揚げる・焼くなど高温調理でも毒性成分は約6割程度残るという実験結果があります。「加熱すれば大丈夫」という思い込みが食中毒につながる代表的な誤解です。
一方、水溶性であるため、ゆでる・二度ゆでするなどの調理法では一定量が溶け出すことがあります。ただしゆでても完全には除去できないため、発芽や緑変が確認されたジャガイモは食べないことが最善です。
食中毒の症状と発症のタイミング
ソラニン・チャコニンには神経系や消化器系に影響する毒性があります。摂取後、早ければ数十分、遅い場合は数時間後から症状が現れます。
主な症状
喉の違和感・灼熱感(今回の奈良県事例でも報告)
吐き気・嘔吐
腹痛・下痢
頭痛・めまい
動悸・耳鳴り
重症例:意識障害・けいれん・呼吸困難・視覚障害
多くの場合は軽症で自然回復しますが、重症化すると入院が必要になることがあります。過去には子どもの死亡例も報告されています。
発症しやすい量の目安
対象 | 中毒症状が出る可能性のある摂取量(目安) |
|---|---|
体重50kgの成人 | ソラニン類50mg以上 |
子ども | 約20mg程度で発症する可能性(過去事例より) |
緑色に変色したジャガイモ(100mg以上/100g)を大人が100g食べると、中毒量に達する可能性があります。子どもは特に少量でも発症しやすいため注意が必要です。
正しい予防方法|購入・保存・調理の3段階

① 購入時のチェックポイント
緑色に変色しているものは購入しない
芽が多く出ているものは避ける
小さすぎるジャガイモ(未成熟)はソラニン類が多い傾向がある
苦みやえぐみを感じるものはすぐに食べるのをやめる
② 保存方法
冷暗所(10℃前後)で保存する——高温・光に当たるとソラニン類が増加する
袋に入れたまま光に当てない——スーパーの袋や新聞紙で包むのが効果的
なるべく新鮮なうちに食べる——保存期間が長いほど芽が出やすく、毒素が増える
冷蔵庫の野菜室も有効——低温で芽の発生を抑えられる
③ 調理時の注意点
発芽部分は芽の付け根ごとえぐり取る——表面だけ切り取るのは不十分
緑色に変色した部分は厚めに取り除く——うすく剥くだけでは毒素が残る可能性がある
苦みやえぐみを感じたら食べない
ゆでる調理はソラニン類が水に溶け出すが、完全には除去できない
加熱すれば安全、は誤り——炒める・揚げるだけでは毒素は残る
⚠️ 家庭菜園のジャガイモは特に注意 |
|---|
市販のジャガイモは生産・流通段階で温度・遮光管理が適切に行われており、未熟な小芋も規格外として選別されるため、家庭菜園・学校栽培のものと比べて食中毒リスクは低い傾向があります。ただし購入後の保管が適切でなければ緑変・発芽が起こります。過去の食中毒事例の多くは学校栽培のジャガイモが原因でした。小さく未成熟なものや、適切に保管されなかったものはソラニン類が高濃度になりやすいため、十分に確認してから調理してください。 |
食べてしまったときの対処法

ソラニン・チャコニンには解毒薬がありません。症状が出た場合は以下の対応をとってください。
食べるのをすぐに止める
水分を十分に摂る
症状が軽い場合は安静にして経過観察
症状が強い・長引く場合はすぐに医療機関を受診する
食べてから4時間以内であれば、医療機関での胃洗浄や吸着剤の投与によって毒素の吸収を抑えられる場合があります。子どもが食べた場合は少量でも念のため医療機関に相談することをお勧めします。
⚠️ こんな場合は速やかに受診を |
|---|
|
よくある質問(FAQ)
Q. 芽を取り除けば食べても大丈夫ですか?
芽の表面を切り取るだけでは不十分です。芽の付け根にも高濃度のソラニン類が含まれているため、スプーンなどでえぐり取るように深く取り除いてください。また緑変している部分も厚めに取り除く必要があります。
Q. 少し緑色になっているだけなら食べても大丈夫ですか?
緑色に変色した部分には通常の13倍以上のソラニン類が含まれている可能性があります。軽く剥く程度では毒素が残ることがあるため、緑変が広範囲にわたる場合は食べないことをお勧めします。
Q. 電子レンジで加熱すれば毒素は消えますか?
消えません。ソラニン・チャコニンは電子レンジを含む加熱調理でほとんど分解されません。加熱前に発芽部分・緑変部分を確実に取り除くことが唯一の予防法です。
Q. 子どもが少し食べてしまいました。受診が必要ですか?
子どもは成人より少量で発症しやすいため、症状がなくても念のためかかりつけ医に相談することをお勧めします。嘔吐・腹痛・めまいなどの症状が出た場合はすぐに受診してください。
Q. 市販のジャガイモなら安全ですか?
市販品は生産・流通段階で温度・遮光管理や規格外選別が行われており、通常の取り扱いでは食中毒リスクは低い傾向があります。ただし、購入後に長期間保存したり光に当てたりすると緑変・発芽が起こります。今回の奈良県事例も市販品が原因でした。購入後の保存管理が重要です。
まとめ
ジャガイモによるソラニン食中毒は、正しい知識と保存・調理の習慣で十分に予防できます。
発芽・緑変したジャガイモのソラニン類は加熱しても分解されない
芽は表面だけでなく付け根ごとえぐり取る。緑変部分は厚めに取り除く
冷暗所・光を避けた場所で保存し、新鮮なうちに食べる
苦みやえぐみを感じたら食べるのをやめる
家庭菜園のジャガイモは特に注意が必要
症状が出た場合は無理に食べ続けず、特に子どもや高齢者は早めに医療機関へ相談してください。
メディア運営者の方へ
今回紹介した最新の健康ニュースに関する記事など、正しいヘルスケア記事を公開するためには医師監修は欠かせません。
オンライン完結で医師監修ができるメディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス「メディコレWEB」とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
ご興味いただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。









