【検証結果】専門医6名による評価:総合評価 3.7点 / 5.0
本記事では、さまざまな診療科(消化器内科、循環器内科、産婦人科、脳神経内科、精神科)の専門医に、実際に「あすけん」アプリを使ってもらい検証を行いました。
その結果、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」に基づいた栄養計算ロジックは、医学的に妥当であるという評価が得られました。一方で、特定の病気をお持ちの方が利用する際には、事前に知っておくべき注意点があることも明らかになりました。
【専門医6名による評価スコア一覧】
栄養計算の正確性 | 安全性 | 継続性 | 行動変容 | 総合評価 | |
中路先生(消化器内科) | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
井筒先生(循環器内科) | 4.0 | 5.0 | 3.0 | 4.0 | 4.0 |
馬場先生(産婦人科) | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 3.0 |
佐藤先生(産婦人科) | 4.0 | 4.0 | 5.0 | 4.0 | 4.0 |
田頭先生(脳神経内科) | 4.0 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 3.0 |
大迫 先生(精神科) | 4.0 | 4.0 | 5.0 | 4.0 | 4.0 |
平均点 | 4.0 | 4.0 | 4.0 | 3.8 | 3.7 |
「あすけん」はどんなアプリ?

画像引用:「あすけん」公式サイトより
医師による本音レビューを紹介する前に、「あすけん」とはどのようなサービスなのか紹介していきます。公式サイトでは以下のように紹介されています。
栄養士のアドバイスが受けられるダイエットサポートサービス「あすけん」
「あすけん」はダイエットや健康を目的にした、食生活記録・改善アプリです。食事画像判別AIなどにより食事の写真を撮るだけで食生活を記録・栄養計算ができるのが特徴です。会員数は世界で1000万人を超えています。また、3ヶ月で平均4.66kg減のダイエット効果があるという調査結果も公表しています。(会社HPより引用)
「あすけん」公式サイトはこちらから
公式サイトによると、「あすけん」の特徴は以下の通りです。
写真撮影だけで食生活記録・栄養計算
食事の写真を撮影すると、15万件以上のメニューデータから食べたものがすぐに見つかります。食事写真や市販食品のバーコードを撮るだけで記録できるなど、すばやく食事記録できるための機能が充実しています。栄養士からのアドバイス
記録された食生活に基づいた栄養士からのアドバイスや、カロリーと各種栄養素14項目の過不足がわかる栄養素グラフを毎日無料で確認することができます。
※アドバイスは独自アルゴリズムに応じて自動的に表示継続を促す仕組み
ユーザー同士が励ましあうダイアリーや、管理栄養士からの励ましが届くチア(応援)メールなど、食生活の改善を続けてもらう、習慣化を促す仕組みが用意されています。
【検証結果】6名の医師は「あすけん」をどう評価した?

今回の検証には、それぞれ異なる専門領域を持つ6名の医師が参加しました。消化器内科、循環器内科、産婦人科、脳神経内科と、さまざまな視点から「あすけん」の有用性と安全性を評価していただきました。
総合評価は5点満点中3.7点
6名の医師による「あすけん」の総合評価は、5点満点中3.7点という結果となりました。
医師らは、食事内容を可視化し、自身の食習慣を把握できる点において、「あすけん」は体重管理や健康維持、生活習慣病予防など幅広い目的に活用できるアプリであると評価しました。妊娠期や更年期を含む女性のライフステージに配慮した設計であり、医師の立場からも勧めやすい点が特徴だとしています。
一方で、正確な記録を継続する負担や、不十分な入力による誤った評価、自己判断による過度な食事制限のリスクもあると指摘しました。特に、治療中や厳密な栄養管理が必要な場合は主治医の指示を優先すべきであり、「あすけん」はあくまで補助的に活用することが望ましいとの見解でした。
医師が評価した4つのポイント
ここからは、専門医が評価した「4つのポイント」について、詳しく解説していきます。
①栄養計算の正確性

「あすけん」の栄養計算機能について、6名の医師全員が4点という高評価をつけました。
この評価の背景には、国の基準に基づいた信頼性の高さと、日常的な栄養管理ツールとしての実用性があります。
厚生労働省の基準を採用した透明性の高さ
医師たちが最も評価したのは、あすけんが厚生労働省による栄養価基準や文部科学省の食品成分表といった公的データベースを採用し、それを明記している点です。佐藤先生(産婦人科)は「明記されているため安心して利用できる」と指摘し、根拠のある情報に基づいた栄養管理ができる透明性を評価しています。
また、運動消費カロリーや基礎代謝計算が個人の体重を加味してカスタマイズされている点も、精度を高める要素として評価されました。
中路先生(消化器内科)は「一般的に摂取頻度の高い食品、外食メニュー、コンビニ商品の栄養成分が幅広くカバーされており、日常生活レベルの栄養評価としては十分な正確性を持つ」と、日本人の食生活に即したデータベースの充実度を認めています。
大迫先生(精神科)も「あすけんは一般向けの健康管理ツールとして、医学的に大きな逸脱のない設計になっている」と評価しました。食事内容からエネルギー量や主要な栄養素を可視化し、過不足をフィードバックする仕組みは、生活習慣病の一次予防という観点で有用だと指摘しています。
医療水準の厳密性には限界がある
一方で、「日常生活レベルの栄養評価」と「医療水準での厳密な栄養評価」の違いも指摘されています。
中路先生(消化器内科)は「調理法の違い、ユーザーによる入力誤差、目分量の誤りは避けられず、医療水準での厳密な栄養評価には限界がある」と指摘しました。
田頭先生(脳神経内科)も「あくまでもユーザーの入力の正確さに依存するため、医学的に正確であるかどうかを実質的に担保するのは難しい」という根本的な限界を示しています。
②安全性

「あすけん」の安全性について、医師たちの評価は3点から5点と幅がありました。
BMI18.5未満に設定できない仕組みや、バランスの取れたアドバイスが評価される一方で、記録にとらわれることで本来必要な栄養が不足するリスクや、不正確な記録による逆効果の可能性も指摘されています。
やせすぎを防ぐ設計と適切なアドバイス
佐藤先生(産婦人科)は「体重目標がBMI18.5未満に設定できなくなっているという点は、若年女性の『やせすぎ』が問題となっている現代でとても信頼できる設定」と高く評価しています。日本では若い女性の過度なダイエットが健康問題となっており、この仕組みは摂食障害や栄養不足の予防に効果的です。
井筒先生(循環器内科)は5点という最高評価をつけ、「自身の食事を入力した後の栄養表示も詳しく記載されており、自身で普段行っている栄養指導と概ね相違ない印象。また受け取るアドバイスに関しても無理がなく、偏りがない印象で過度にあおられる心配も少ないと感じた」と、医療現場の栄養指導と遜色ないバランスの取れた内容を評価しています。
大迫先生(精神科)も「極端なカロリー制限や危険な食事指導を直接的に促す設計ではなく、全体として安全性には配慮されている」と評価し、栄養バランスを重視したフィードバックが中心であり、無理な行動変容を煽りにくい点を認めています。医療現場では「自己流ダイエット」による体調悪化をしばしば経験するとした上で、あすけんの設計を肯定的に捉えています。
記録にとらわれるリスク
一方で、馬場先生(産婦人科)は「栄養素を客観的に記録できるのはいいが、記録を気にするあまり食事が偏ってしまうリスクはある。記録しやすい食材に偏ったり、カロリーを合わせるために無理をしてしまい、食欲などの体の声を無視してしまうリスクがある」と、アプリの数値に固執することで本来の健康的な食生活から逸脱する可能性を警告しています。
これは、ご自身が食事記録で体調を崩した経験に基づく重要な指摘です。記録することが目的化してしまい、自分の体が求める栄養や食事のリズムを無視してしまうことは、かえって健康を損なう結果につながりかねません。
不正確な記録による逆効果の懸念
田頭先生(脳神経内科)は3点をつけ、「実際に使ってみて、過剰な制限につながることはあまりないと思った。逆に正確に食事内容が記録しきれず、結果として実際の摂取エネルギーよりも少なく表示され、人によっては油断からの過食につながる可能性もあるのではないか」と指摘しています。
記録の不正確さが、本人の認識と実際の摂取量にズレを生じさせ、誤った判断につながるリスクがあります。
③継続性

「あすけん」の継続性について、医師たちの評価は3点から5点と分かれました。
チャレンジイベントやバッジ付与、キャラクターによるコメントなど、継続を促す工夫が評価される一方で、毎日の記録が負担となり離脱するリスクが指摘されています。
継続を促す多彩な工夫
佐藤先生(産婦人科)は継続性に5点という最高評価をつけ、「コースが複数あり、目的ごとに選べるためさまざまな人にマッチしている」と評価しました。バーコード機能で外食が多い層にも配慮されている点がモチベーション維持につながると指摘しています。
中路先生(消化器内科)も、点数化やキャラクターによるコメント、バッジ付与など「行動科学的にも継続行動を支える工夫として一定の効果が認められる」と評価しました。体重推移グラフや目標達成予測日数の提示など、成果の可視化が減量目的のユーザーのモチベーション維持に貢献すると認めています。
馬場先生(産婦人科)は、チャレンジイベントや達成度表示の工夫を評価しつつ、AI機能による記録の簡略化が継続のハードルを下げる要素として評価しています。
大迫先生(精神科)は「臨床的に重要な『続けられるか』という点において、あすけんは非常によく設計されている」と評価しました。外来で生活習慣の改善を勧める際、「何をどれくらい食べているか分からない」という方に対し、こうしたツールは導入のきっかけとして有効だと述べました。
毎日の記録が負担となるリスク
一方で、継続性の課題も指摘されています。中路先生(消化器内科)は「毎食・毎日の入力という構造上の負担は避けがたく、仕事や外食などで入力が滞ると、そのまま離脱するケースも少なくない」とコメントしました。
井筒先生(循環器内科)は「チアメールが届くが、それ以上に継続につながる大きなポイントが見受けられない」とし、より実践的なサポートの必要性を提案しています。
田頭先生(脳神経内科)は、リマインドメールなどの仕組みが「やや過剰と感じる節もあり、過干渉に感じ、むしろ離脱につながるリスクもある」と、継続を促す仕組みが逆効果になる可能性を警告しています。
④行動変容

食事記録を通じて、実際に食生活の改善や行動変容につながるかという点について、医師たちの評価は3点から4点と分かれました。
食生活の可視化により「気をつけよう」という意識が芽生える効果は認められる一方で、実際の行動変容につながるかどうかは「使う人の性格や状況次第」という見解が共通しています。
可視化による意識変容と予防医学への貢献
佐藤先生(産婦人科)は「入力することで、自身の食生活が可視化され、自然と『気をつけよう』という意識が芽生えた」と評価しました。特にコラムが充実しており、血糖値や血圧が気になる時に推奨される食習慣がわかりやすく、「予防医学に貢献する」と指摘しています。
中路先生(消化器内科)も「緩やかな体重減少を推奨する基本方針は、標準的な成人向け減量ガイドラインと整合しており、一次予防レベルとして一定の医学的妥当性を評価できる」としています。過剰な低カロリー摂取を勧めず、運動や睡眠など生活習慣全体に触れる設計が、予防医学の観点から評価されています。
馬場先生(産婦人科)は「食事記録自体が抑制力として働く」と効果を認めつつも、「抑制力が働きすぎて、いつもの食生活が変わってしまい、その変化についていけないリスクも考えられる」と、過度な自己規制による弊害を懸念しています。
大迫先生(精神科)も「フィードバックが日々得られることで、『食事を意識する』『選択を見直す』といった行動変容が起こりやすい構造になっている」と評価しました。生活習慣改善の第一歩は"気づき"だと考えており、その点であすけんは有用だと述べています。
ユーザーの段階と性格で効果が異なる
井筒先生(循環器内科)は「初心者には始めやすい一方で、すでに別の方法で取り組みを進めている方には、やや物足りなく感じられる可能性がある」と指摘しました。
田頭先生(脳神経内科)は慎重な見解を示し、「正確に記録し、前向きに活用できる人なら行動変容につながる可能性はある」としつつも、「これをきっかけに多くの人が行動を変えるのは難しいのではないか」と指摘しました。行動に移せるかどうかは、アドバイスの質以上に本人の性格や生活環境に左右されるといいます。
一方で、大迫先生(精神科)は「心理的要因やストレス背景への介入は限定的であり、医療的サポートが必要なケースでは、アプリと医療機関での治療を組み合わせることが望ましい」と述べ、アプリ単体での限界と医療との連携の必要性を指摘しています。
【重要】医師が指摘する注意が必要なケース

「あすけん」は健康な成人の栄養管理には有用なツールですが、医師たちは注意が必要なケースを明確に指摘しています。
中路先生(消化器内科)は「一般成人の生活習慣改善には概ね妥当であるが、医療行為の代替にはならない」と強調し、アプリの限界と適切な使用範囲について警告しています。
以下に当てはまる方は、使用を慎重に検討しましょう。
1. 腎疾患
腎疾患では、ナトリウム、カリウム、リンなどの厳密な制限が必要となります。中路先生(消化器内科)は、「腎疾患や心疾患などで微量栄養素の管理が必要なケースでは、一般的なアプリのデータ構造や表示仕様が対応しきれないことも多い」と述べています。
微量栄養素は、食品によって含有量が大きく異なり、調理法によっても変化します。腎疾患の方が一般的な栄養管理アプリの情報だけで食事管理を行うことはリスクがあるといえるでしょう。
2. 心不全
心不全では、ナトリウムやカリウムの厳格な制限が必要です。アプリでは大まかな塩分量は把握できても、調理に使われる調味料の正確な量や、加工食品に含まれる隠れた塩分までを完全に把握することは困難です。心不全の重症度によっては、1日の塩分摂取量を厳密に制限する必要があり、このような管理はアプリだけでは不十分です。
3. 糖尿病
中路先生(消化器内科)は「糖尿病コントロール不良の人は、必ず主治医の指示を優先すべきであり、アプリはあくまで補助的な位置づけ」と指摘しています。
血糖コントロールが不安定な方は、アプリの一般的なアドバイスだけでは、低血糖や高血糖のリスクを適切に管理できません。
4. 妊娠中
妊娠・授乳中の栄養管理について、佐藤先生(産婦人科)は、「妊娠、授乳期は通常よりもカロリー、栄養素ともに摂取を増やす必要がありダイエットには注意が必要であるが、あすけんはその基準に沿った食生活のアドバイスが受けられ、とても安心感がある」と評価しています。
一方で、中路先生(消化器内科)は「妊娠中など個別性の高い栄養制限が求められる場合、アプリ単独での使用は安全性の保証が難しく、主治医の指示との整合性も不透明です」と指摘しています。
妊娠中は個人差が大きく、特別な栄養管理が必要なケースも少なくありません。こうした場合、アプリの一般的なアドバイスだけでは不十分であり、主治医や管理栄養士の個別指導を受けることが重要です。
5. 摂食障害
また、大迫先生(精神科)は「摂食障害の方は、医療者の関与なしに使用することには注意が必要」と述べています。
摂食障害の方があすけんを使用する場合は、担当医や専門家の指導のもとで行うことが推奨されます。
Q&A「あすけん」を使う前に知っておきたいこと

最後に、医師の評価をもとに、「あすけん」の使用に関してよくある疑問をQ&A形式で解説します。
Q. 「あすけん」を使い始めるときに気をつけることはありますか?
A. 記録にとらわれすぎないことが大切です。医師たちは、数値を完璧にしようとするあまり、空腹感などの体の声を無視しないこと、記録しやすい食材ばかりに偏らないこと、入力が負担になったら無理せず休むことも選択肢に入れることを推奨しています。アプリはあくまで健康管理の補助ツールであり、完璧な記録を目指すことが目的ではありません。
Q. 医師の評価から見て、「あすけん」はどんな人に向いていますか?
A. 健康な成人で、食生活を見直したい方に向いています。医師たちの評価から、以下のような方には「あすけん」の活用が推奨できます。
健康な成人で、自分の食生活を見直したい方
軽度の肥満やメタボリックシンドローム予備群の方
Q. 医師の評価から見て、「あすけん」の使用に注意が必要なのはどんな人ですか?
A. 治療中の疾患がある方や、妊娠中に合併症がある方は注意が必要です。医師たちは、以下に該当する方は自己判断での使用に慎重になるべきだと指摘しています。
腎疾患、心不全、糖尿病、摂食障害などの疾患で治療中の方
妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などの合併症がある妊婦
BMIが極端に高い肥満の方
Q. 上記に当てはまる場合、「あすけん」は使わないほうがいいですか?
A. 禁止ではありませんが、主治医の指導を受けた上での使用が推奨されます。体調や治療内容によっては、一般的な栄養基準に基づくアドバイスが合わない可能性があるため、個別の医療的判断を優先することが重要です。
Q. 「あすけん」のアドバイスと医師の指導が違う場合、どうすればいいですか?
A. 主治医の指導を優先してください。中路先生(消化器内科)は「薬物療法中や厳密な栄養管理を要する患者では、アプリの内容が主治医の方針と矛盾するリスクや、患者が自己判断で信頼し過ぎる危険性もある」と指摘しています。特に治療中の方は、アプリを使うこと自体を事前に主治医に相談することをおすすめします。
まとめ:医師6名の検証でわかった「あすけん」の正しい使い方

6名の専門医による検証の結果、「あすけん」は健康な成人が日常的な栄養管理を行う補助ツールとして有用である、という評価になりました。総合評価3.7点は、「万能ではないが、適切な人が適切に使えば効果的」という位置づけを示しています。
国の基準に基づいたデータベース、やせすぎを防ぐ安全設計、継続を促す工夫など多くの長所がある一方で、厳密な医療管理には限界があり、使う人の性格や状況によっては逆効果になるリスクも指摘されました。
自分に合った使い方を見つけることで、「あすけん」は日常的な栄養管理の心強いパートナーとなるでしょう。
※本記事は、各専門医がアプリの機能および公表されているアルゴリズムを検証した結果に基づく個人の見解であり、特定の疾患の治療効果を保証するものではありません。また、食事療法が必要な方は必ず主治医にご相談ください。















