【医師監修】胃がんの初期症状とは?見逃しやすいサイン・ピロリ菌リスク・胃カメラ検診・ステージ別5年生存率を消化器内科医が解説

胃の不調を感じてみぞおちを押さえる人|胃がんは初期段階でほぼ無症状のため定期検診が重要

【医師監修】胃がんの初期症状とは?見逃しやすいサイン・ピロリ菌リスク・胃カメラ検診・ステージ別5年生存率を消化器内科医が解説

2026年3月22日
胃の不調を感じてみぞおちを押さえる人|胃がんは初期段階でほぼ無症状のため定期検診が重要

【医師監修】胃がんの初期症状とは?見逃しやすいサイン・ピロリ菌リスク・胃カメラ検診・ステージ別5年生存率を消化器内科医が解説

2026年3月22日
メディコレマーク|メディコレWEBを通じた医師監修済み記事の認証バッジ|消化器内科専門医が監修|2026年3月22日

この記事はメディコレWEBを通じた医師監修を受けています。

💡 この記事でわかること

  • 胃がんの初期症状と見逃しやすい理由

  • 胃がんが疑われる具体的な症状チェックリスト

  • 進行胃がんで現れる症状

  • 胃がんのリスク要因(ピロリ菌・喫煙・食生活・遺伝)

  • 胃がんに多い人の特徴

  • 胃がん検診の種類・費用・選び方(胃カメラ vs バリウム)

  • ステージ別の5年生存率

  • 胃がんの治療法

  • ピロリ菌除菌で胃がんは予防できるか

  • よくある質問Q&A

「最近胃の調子が悪い気がするけど、まさか胃がんでは……」と不安を感じたことはありませんか?胃がんは日本人に多いがんの一つですが、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく、気づかないうちに進行してしまうことがあります。

だからこそ、見逃しやすい初期サインを知っておくことと、定期的な胃がん検診を受けることが命を守る最大の手段です。本記事では、胃がんの初期症状から見分けにくい症状の特徴・主なリスク要因・ピロリ菌との関係・検査方法・ステージ別生存率・治療法まで、消化器内科医の監修のもと詳しく解説します。

胃がんとは

胃の痛みや違和感を感じる男性|胃がんは日本人男性の11人に1人が生涯で発症するがん第3位

胃がんは胃の内側にある粘膜の細胞が異常増殖してがん化する病気です。進行すると胃壁の深部へと広がり、リンパ節や肝臓・腹膜などへ転移することがあります。

日本人に多いがんの一つで、罹患数は大腸がん・肺がんに次ぐ第3位(2021年全国がん登録)です。男性では約11人に1人、女性では約23人に1人が生涯で胃がんになると推定されています(国立がん研究センターがん統計)。ただし、近年はピロリ菌除菌の普及などにより罹患率は低下傾向にあります。

胃がんには進行スピードの異なる複数のタイプがあります。

  • 分化型胃がん:進行が比較的緩やか。がん細胞がまとまっている。

  • 未分化型胃がん:進行が速く、がん細胞がバラバラに増殖する。

  • スキルス胃がん:胃がん全体の約10%を占め、胃壁全体が硬くなる。粘膜表面の変化が少なく内視鏡でも発見が難しい。進行が非常に速い。

胃がんの初期症状|なぜ見逃されやすいのか

胃がんの最大の特徴は、初期段階ではほぼ無症状であることです。早期胃がん患者の約半数は何らかの症状を感じていますが、その症状は胃炎・胃潰瘍・過食などと見分けがつかないものがほとんどです。

「症状がないから大丈夫」という油断が、発見の遅れにつながります。以下の症状が数週間以上続く場合は、胃がん以外の疾患も含めて消化器内科の受診を検討しましょう。

胃がんの初期症状チェックリスト

  • みぞおち周辺の軽い痛み・違和感(断続的に続く場合は要注意)

  • 胃もたれ・膨満感(食後でもないのに続く場合)

  • 胸やけ・胃のむかつき

  • 食欲不振・少量で満腹になる

  • 吐き気・嘔吐

  • げっぷが頻繁に出る

  • 下痢・便通の変化

これらの症状は胃炎・逆流性食道炎・胃潰瘍などでも現れるため、症状だけで胃がんを判断することはできません。重要なのは「症状が長く続くかどうか」と「定期的に検診を受けているかどうか」です。

進行胃がんで現れる症状

胃がんが進行し、固有筋層より深くまで浸潤した状態(進行胃がん)になると、以下のような症状が現れてきます。これらの症状が出た場合はすでに進行している可能性が高いため、すぐに受診してください。

  • 食物がつかえる・飲み込みにくい

  • 体重減少(半年で10%以上の急激な減少)

  • 黒色便・タール便(がん部位からの出血が原因)

  • 貧血による倦怠感・ふらつき・顔色の悪さ

  • みぞおちに触れると感じるしこり

  • 腹水による腹部膨満

進行胃がんと早期胃がんの分類は「症状の有無」ではなく「がんが胃壁のどこまで浸潤しているか」で決まります。症状がなくても進行がんであることがあり、逆に症状があっても早期がんのこともあります。

胃がんのリスク要因

胃がんのリスク要因を説明する消化器内科医|ピロリ菌感染・喫煙・高塩分食生活・家族歴が主な要因

胃がんの発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、以下のリスク要因が確認されています。

① ヘリコバクター・ピロリ菌(最大のリスク要因)

ピロリ菌に感染していると、胃がんになる可能性が高くなると報告されています(国立がん研究センターがん情報サービス)。国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC研究)では、隠れた陽性者も含めると胃がん症例の約99%がピロリ菌に感染しており、感染者の胃がんリスクは未感染者の10倍以上になることが示されています。

ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期間にわたって萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がんへと進行するリスクがあります。ピロリ菌感染の有無はABC検診・尿素呼気試験・血液検査などで確認でき、感染が確認された場合は除菌治療が推奨されます。

▶ 関連記事:【医師監修】ピロリ菌の検査・除菌治療・胃がんリスクを消化器内科医が解説

② 喫煙

喫煙者は非喫煙者と比べて胃がんになるリスクが約2倍になるとされています。タバコに含まれる発がん物質が胃の粘膜を傷つけ、がんを発症しやすい環境をつくります。

③ 飲酒

国際がん研究機関(IARC)はアルコール飲料に発がん性があると結論づけています。日本人男性を対象とした大規模研究では、1日1合以上の飲酒が胃がんリスクを有意に高めることが示されています。特に日本人は少量の飲酒でもリスクが高まる可能性があります。

④ 食生活

塩分の過剰摂取は胃がんのリスクを高めます。特に塩辛・漬物・塩漬けの魚・高塩分の味噌汁などの摂りすぎに注意が必要です。一方、野菜・果物に含まれるビタミンCや食物繊維はリスクを下げる可能性があります。

⑤ 年齢・性別

胃がんは40代から増加し始め、60〜70代に最も多く見られます。男性の罹患率は女性の約2倍です。ただし若い年代でも発症することがあるため、年齢に関係なく注意が必要です。

⑥ 家族歴・遺伝

一親等以内(親・兄弟)に胃がん患者がいる方は、リスクが高いとされています。特にピロリ菌感染を家族から受け継いでいることも多く、家族歴がある場合は早めの検診が推奨されます。

⑦ 肥満

日本人男性では特にBMI27以上で胃がんリスクが上昇することが研究で示されています。適正体重の維持が予防の一助となります。

胃がんになりやすいのはどんな人?

特徴

理由

ピロリ菌感染者(未除菌)

胃がんの約99%でピロリ菌感染が関与。リスクは未感染者の10倍以上(国立がん研究センターJPHC研究)

50代以上の男性

加齢でリスク上昇。男性は女性の約2倍の罹患率

喫煙習慣がある

非喫煙者の約2倍のリスク

塩分の多い食事が習慣

高塩分食が胃粘膜を傷つける

家族(一親等)に胃がん患者がいる

遺伝的素因+ピロリ菌の家族内感染

過去に胃潰瘍・萎縮性胃炎と診断された

がん化の前段階として注意が必要

胃がん検診を長年受けていない

早期発見の機会を逃している

胃がん検診の種類・費用・選び方

胃がん検診の結果用紙とABC検診(ピロリ菌+萎縮性胃炎リスク分類)|胃カメラvsバリウム検査の費用・精度比較

厚生労働省の指針では、50歳以上を対象に2年に1回の胃がん検診が推奨されています(一部自治体は40歳から)。主な検査方法は2種類です。

比較項目

胃内視鏡検査(胃カメラ)

胃部X線検査(バリウム検査)

方法

カメラ付きの細い管を口・鼻から挿入して直接観察

バリウムを飲んでX線撮影

精度

高い(微小な病変・組織採取が可能)

内視鏡より低い

苦痛

やや負担あり(鎮静剤使用で楽になる)

比較的楽だが体位変換あり

費用目安

3割負担で約3,000〜5,000円(自治体検診は安価)

3割負担で約1,500〜3,000円

特徴

組織生検で確定診断できる。高濃度乳房に相当する精度差なし

低コスト・広く普及

推奨

ピロリ菌感染者・家族歴ある方・精度を重視したい方

スクリーニングとして

自治体の胃がん検診のクーポンを利用すると大幅に安く受診できます。職場の健康診断でも実施している場合があります。「要精密検査」の通知が来たら必ず消化器内科を受診してください。

ABC検診(ピロリ菌+萎縮性胃炎のリスク分類)

血液検査でピロリ菌抗体と胃の萎縮度(ペプシノゲン法)を組み合わせてリスクをA〜Dに分類する検査です。リスクが高いグループに絞って内視鏡検査を行うことで効率的に早期発見を目指します。企業健診や人間ドックのオプションとして受けられることが多いです。

胃がんのステージ別5年生存率

国立がん研究センター院内がん登録2015年診断症例データによると、胃がんの生存率はステージによって大きく異なります。

ステージ

状態の目安

5年相対生存率(純生存率)

ステージI

胃壁の粘膜〜粘膜下層にとどまる・転移なし

約97%

ステージII

筋層まで浸潤 またはリンパ節転移あり

約66%

ステージIII

漿膜まで浸潤 または広範なリンパ節転移

約47%

ステージIV

他臓器への遠隔転移あり

約7%

出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計」(2015年診断症例・純生存率)。

※数値は目安であり、治療状況等により変動します。

ステージIでの発見であれば5年生存率は約97%と非常に高く、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。

胃がんの治療法

胃がんのステージ・サブタイプ別治療方針を説明する消化器内科医|内視鏡的切除ESD・外科手術・化学療法の選択肢

胃がんの治療はステージ・場所・全身状態によって異なります。主な治療法は以下の通りです。

内視鏡的切除(ESD・EMR)

粘膜内にとどまる早期胃がんが対象です。内視鏡を使ってがんを削り取る低侵襲な治療法で、入院期間も短く身体への負担が少ないのが特徴です。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は2cm以上の病変にも対応できます。

外科手術

胃を部分切除または全摘し、周辺のリンパ節も切除します。腹腔鏡手術の普及により、傷が小さく回復が早い手術も選択できるようになっています。

化学療法(抗がん剤)

手術前後の補助療法として、または切除不能・転移がんの場合に使用します。近年はHER2陽性胃がんへの分子標的薬(トラスツズマブ)や免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ等)の使用も進んでいます。

放射線治療

胃がんに対する放射線治療単独の役割は限られていますが、骨転移による疼痛緩和や出血コントロールなどに使用されることがあります。

ピロリ菌除菌で胃がんは予防できるか

ピロリ菌の除菌治療により、胃がんの発症リスクを大幅に下げられることが複数の研究で示されています。特に萎縮性胃炎が進行する前に除菌するほど効果が高いとされています。

ただし、除菌後も胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。萎縮性胃炎や腸上皮化生が進んでいる場合は除菌後も定期的な内視鏡検査を続けることが推奨されます。

除菌治療は2種類の抗菌薬と胃酸抑制薬を1週間服用するだけで、除菌成功率は約90%以上です。ピロリ菌感染が確認された方は担当医に相談してみましょう。

胃がんを予防するために今日からできること

  • ピロリ菌検査を受ける(40歳以上は特に推奨)。陽性なら除菌治療を受ける

  • 50歳以上は2年に1回の胃がん検診を受診する(自治体検診を活用)

  • 禁煙・節酒を心がける

  • 塩分の多い食品(漬物・塩辛・加工食品)を控える

  • 野菜・果物を積極的に摂る

  • 適正体重を維持する(BMI適正範囲:男性21〜27、女性21〜25)

  • 家族歴がある場合は30〜40代から定期検診を開始する

よくある質問(FAQ)

Q. 胃の痛みが続いています。胃がんの可能性はありますか?

みぞおちの痛みや違和感は胃がんの初期症状の一つですが、胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎などでも同様の症状が起こります。症状だけで胃がんを判断することはできないため、数週間以上続く場合は消化器内科を受診して検査を受けましょう。

Q. 胃カメラは怖い・苦しいと聞きましたが、必ず受けないといけませんか?

鎮静剤(静脈麻酔)を使うと楽に受けられる施設が増えています。また経鼻内視鏡は口から入れる場合より苦痛が少ないという方もいます。バリウム検査から始めることも可能ですが、精度は内視鏡の方が高く、ピロリ菌感染がある場合や家族歴がある場合は内視鏡が推奨されます。

Q. ピロリ菌がいないから胃がんにはなりませんか?

ピロリ菌未感染者の胃がんリスクは感染者より低いですが、ゼロではありません。ピロリ菌に関係しない胃がんも約2%存在します。年齢・生活習慣にかかわらず定期検診を受けることが重要です。

Q. 胃がん検診で「異常なし」でも胃がんになることはありますか?

あります。特にスキルス胃がんは粘膜変化が乏しく、検診で見落とされやすいがんです。また検診の頻度・方法によっては早期病変を捉えられない場合もあります。気になる症状がある場合は検診結果に関わらず受診しましょう。

Q. 若いのに胃がんになることはありますか?

胃がんは主に中高年に多いですが、20〜30代での発症もあります。特にスキルス胃がんは若い女性に多い傾向があります。家族歴がある場合や症状が続く場合は年齢に関わらず受診してください。

まとめ

胃がんは初期の段階ではほぼ無症状で、みぞおちの痛みや胃もたれなどの症状が出ても胃炎などの他の疾患と見分けがつきにくいのが特徴です。だからこそ、自覚症状を待つのではなく、定期的な検診による早期発見が最も重要です。

ステージIでの発見であれば5年生存率は約97%。ピロリ菌の除菌・禁煙・塩分控えめな食生活・定期検診の継続が、胃がんを防ぐ最善の策です。特にピロリ菌感染が確認されている方・家族歴がある方は、早めに消化器内科に相談してください。

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参考文献

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。

藤原大輔|総合内科専門医、消化器内視鏡学会専門医、消化器病学会専門医
藤原大輔
(医師)
医師のコメント

ピロリ感染の既往がある方は定期的な胃の検査が推奨されます。無症状であっても定期の胃がん検診を受けるようにしてください。

医師のコメント

ピロリ感染の既往がある方は定期的な胃の検査が推奨されます。無症状であっても定期の胃がん検診を受けるようにしてください。

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