インターネット上に健康情報があふれる現代において、「どの情報を信じればいいのか」と迷った経験は誰しもあるのではないでしょうか。正確な医療情報を届けるためには、専門知識を持つ医師の存在が不可欠です。今回は、総合診療専門医としてご活躍されている舛森悠先生にお話を伺いました。

「たとえ偽善でも、人に優しくしたい」医師を志した原点

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
舛森先生 実は、高校3年の夏まで宇宙工学を志していたんです。転機になったのは、塾の講師に誘われて参加した、アフリカ・ウガンダの写真家の方の講演でした。貧困の中でも屈託のない笑顔を見せる子どもたちの姿、その一方で紛争や地雷の被害に遭う現実を目の当たりにして、自分がいかに恵まれた環境にいるかを思い知らされました。
その日から「たとえ偽善であっても、人に優しくしたい」と素直に思えるようになって。自分にとって最も直接的に人を支えられる職業として、医師を選びました。人が好きで、一人ひとりの人生から日々学ばせていただけるこの仕事を選んだことを、今は全く後悔していません。
――宇宙工学から医師へ、大きな転換ですね。総合診療の道に進まれたきっかけはありますか?
舛森先生 学生時代の地域実習がきっかけです。訪問診療の現場で多くの寝たきりの患者さんと出会い、自分に何ができるのかを深く考えさせられました。同時に、一人ひとりに異なる人生があり、こだわりがある
ことを知って、教科書通りにはいかない「人の面白さ」に気づかされたんですね。
病気を治すだけでなく、その方の暮らしや人生の物語を一緒に見ていく感覚に強く惹かれました。初期研修で各科をローテーションする中でも、身体面だけでなく心理的・社会的背景を含めて包括的に診る家庭医療の考え方に共感して、この領域で生きていこうと決心しました。
「病気を診るのではなく、人生を診る」日々の臨床と研究
――先生が取り組まれている臨床や研究の様子について教えてください。
舛森先生 2025年10月より勤医協札幌病院の在宅診療部に所属し、患者さんのご自宅に伺う訪問診療を中心に携わっています。住み慣れた場所で最期まで自分らしく暮らしたいという方々の想いに応えるため、生活背景や価値観を踏まえた全人的な医療を実践しています。
臨床の中で「この患者さんにもっと伝えたかった」と感じたことを、登録者約90万人のYouTubeチャンネル「YouTube医療大学」で発信しており、診察室の延長として予防医療の普及に取り組んでいます。研究面では、千葉大学大学院で地域環境と住民の健康との関連を分析し、健康なまちづくりに資するエビデンスの構築を目指しています。
――臨床や研究で大事にしていることはありますか?
舛森先生 「病気を診るのではなく、人を診る。人だけではなく、人生を診る」ことを大切にしています。たとえば、頭痛を訴えて来院された方に検査で異常がなかった場合でも「問題ありませんね」と終わらせるのではなく、仕事や家事の負担と症状の関係を一緒に分析して、その方が大切にしたい暮らしと健康管理を両立できる道を探ります。
医学的な正しさを一方的に押しつけるのではなく、その方にとっての「幸せ」を一緒に考える姿勢を常に持ちたいと思っています。健康はあくまで幸せに生きるための手段ですから。
「住むだけで健康になれるまち」を目指して

――先生が現在チャレンジしていることはありますか?
舛森先生 「健康情報が届かない人にこそ届ける」という課題に挑戦しています。YouTubeは多くの方に情報をお届けできる一方、健康への関心が高い方に届きやすく、本当に情報を必要としている方にはなかなか届かないという現実があります。
そこで「はこだて暮らしの保健室」では、医療者自らが街に出て、地域活動のついでに「そういえば最近気になることがあって」と気軽に相談できる場を作っています。オンラインとオフラインを組み合わせ、健康格差を少しでも縮めていくことが今の最大のテーマです。大学院ではこうした活動を学術的に裏付ける研究も進めており、実践と理論の両輪でこの課題に向き合っています。
――先生のVISIONを教えてください。
舛森先生 「住むだけで健康になれるまち」の実現が究極の目標です。個人の疾病管理にとどまらず、地域環境そのものが住民の健康を支えるような社会をデザインしたいと考えています。特に大切にしたいのは「ケアの双方向性」です。
ある施設で、歩行が不安定な90代の方が認知症の方の話し相手として毎日訪問し、生き生きとされている姿を目にしました。年齢を重ねてもケアを受ける側になるだけでなく、誰かの力になれる機会があることが最大のエンパワーメントになり得ると実感しています。
お薬ではなく「社会とのつながり」を処方し、支え合いが自然と生まれる地域社会の実現を目指して、臨床・研究・地域活動を続けていきます。
――先生はメディコレWEBの監修医として登録いただいていますが、どのような思いで協力していただいているのでしょうか?
舛森先生 普段の診療では限られた時間の中で伝えきれない予防や生活習慣の知識を、YouTubeを通じて多くの方にお届けしてきました。
ただ、動画を観る層と記事を読む層は異なります。文字で残る記事は、気になった時に何度でも読み返せるという強みがあって、動画とは異なる形で健康情報を届けることができる。インターネット上には不正確な情報も多く、誤った知識を信じて受診が遅れるケースも少なくありません。
医療従事者がエビデンスに基づいて監修した記事は、読者が安心して参考にできる情報源になります。メディコレWEBの記事監修は、診察室でもYouTubeでも届かなかった方と出会える、もう一つの大切な窓口だと考えています。
――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
舛森先生 日々の診療で感じるのは、病気になって初めて健康のありがたみに気づく方が多いということです。「もう少し早く来てくれたら」と感じる場面は少なくありません。
でも、今日この記事を読んでいるということは、ご自身やご家族の健康に関心を持ってくださっている証拠です。その気持ちだけで、もう大きな一歩を踏み出しています。まずは気になる症状を放置せず相談すること、健診の結果を見直してみること。小さな行動の積み重ねが、将来の健康を守ります。
皆さんの人生がより豊かで健やかなものになるよう、これからも信頼できる情報をお届けしてまいります。
まとめ
医療・健康情報を扱うコンテンツでは、不正確な情報が読者の判断に直接影響するリスクがあります。専門医による監修は、そうしたリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。
株式会社メディコレのオンライン完結医師監修サービス「メディコレWEB」を活用することで、質の高い医師監修をスムーズに実現することができます。
メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。









