株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、筑波大学附属病院の筑波大学附属病院 病院総合内科講師の伊東完先生にお話を伺いました。

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、筑波大学附属病院の筑波大学附属病院 病院総合内科講師の伊東完先生にお話を伺いました。

「医療全体のスチュワードシップ活動の拠点を日本に創設したい」総合内科医としての思い
――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
伊東先生 もともとは医師になりたいという想いはあまり強くありませんでした。子供の頃から、自然の中でカブトムシを捕まえたり、ホタルを夜に眺めたり、ゴミ拾いボランティアに参加したりする日々で、将来は自然環境保護に関わる仕事をしたいと思っていました。ただ、自然環境保護に関わる仕事の名前が具体的に思い浮かばず、家族の後押しもあって医学部に進学しました。人命救助に汗を流す医師の姿に格好良さや憧れを感じることはあっても、自分には少し眩し過ぎるという印象を持っていましたね。今思えば、医師になって結果オーライだった面もあるのですが、そう思うに至るまでが茨の道だったように感じます。
――ご苦労をされながら、医師としての適性を見出したのですね。現在は総合内科医としてご活躍されていますが、総合内科の道に選んだ理由はありますか?
伊東先生 もともとは手先が器用だったこともあって外科を考えていましたが、外科は夜中に病院から呼び出されるのが当たり前で、心身の弱い自分には厳しいと感じました。それ以前に、病気を診るのは好きでしたが、人を診るのが好きでなかった。顕微鏡で微生物を眺めていたかったことや、メンターに恵まれたなどの理由で、最終的に感染症内科を選択しました。ところが、プログラムの定員の問題などに翻弄されているうちに、なぜか総合内科医として今は定着しています。人生はよく分からないもので、人を診るのが好きでないくせにまあまあ得意なので、総合内科医としての続投を世間からは求められているようです。
――先生が取り組まれている研究や臨床の様子について教えてください。

伊東先生 臨床現場に立つと、無駄な医療が多く行われていることに気がつきます。要らない検査をオーダーして、偽陽性に引っ掛かって、追加の検査や不要な治療を繰り返すという不毛なことをしているうちに、残業から抜け出せなくなる医師を多く見てきました。こういった低価値医療(low-value care)は、患者にも、医療従事者にも有害無益ですし、社会保障費の増大する日本では特に優先して削るべき医療サービスとも言えます。低価値医療の頻度や関連する要因を定量化して、撲滅しようという方向で臨床も研究も進めています。いわゆるスチュワードシップと呼ばれる運動で、奇しくも私が幼い時に心惹かれていた自然環境保護に近接する仕事ができているということです。
――臨床や研究現場で大事にしていることはありますか?
伊東先生 目の前の患者さんに全力を尽くすことは大切だと思います。ただし、それ以上に、その努力が有意義なものであるかという反省を誰よりも重視するようにしています。医療資源を湯水のように注ぎ込むことに傾倒した結果、10年後、20年後に誰も助けられなくなる未来が到来してしまうのは本末転倒かと思うのです。私自身は、まだ30代前半なので、老年人口が最大に達する2040年時点でも医療現場のプレーヤーです。既に余裕がないとはいえ、諸外国に比べると、まだ日本は恵まれている国のように感じます。いまのうちから、医療現場のスチュワードシップを推進して、この国の進むべき方向性を誤らないようにしたい。医療の部分最適よりも全体最適を大事にして、日々を生きています。
――医療の持続可能性については大きなテーマですので、スチュワードシップの推進もより注目度が上がりそうですね。先生がチャレンジしたいことはありますか?
伊東先生 スチュワードシップの問題点として、低価値医療をうまく定義できていないことが挙げられます。こうした専門的議題は、Delphi法という専門家集団でアンケートとフィードバックを繰り返して進めるべきものですが、専門家集団が既に高齢で医療現場のプレーヤーでないという問題が浮上しています。
現場レベルから低価値医療にまつわる提言ができる仕組みを作ることが急務です。加えて、既に定義されている低価値医療については、疫学の研究室と連携して実態調査を進めていく必要があります。低価値医療の出所が分かれば、そこをターゲットに、教育的介入やDX導入を行い、医療の質を向上させる。ゆくゆくは医療全体のスチュワードシップ活動の拠点を日本に創設したいですね。
――先生のVISIONを教えてください。
伊東先生 何度か触れてきましたが、私は心身ともに弱い人間です。それでも、周りの先生方に温かく支えていただいて、いままで生き残ることができました。日本の医療現場は多忙を極めていますが、その中で理不尽から守っていただいたお陰というわけです。その一方で、残念ながらキャリアを諦めてしまう医師も多く見てきました。そういった医師を助けることで、人手不足を少しでも軽減したいと考えています。
こうした取り組みに加えて、低価値医療を削減してさらに現場の負担を軽減することで、少ない医療資源でも数多くの患者さんと医療従事者が幸せになれるような医療現場を作りたいと思っています。これが、私の思い描く「持続可能な医療現場」の姿であり、生涯かけて仰ぎ見る目標です。
――先生はメディコレWEBの監修医として登録いただいていますが、どのような思いで協力していただいているのでしょうか?

伊東先生 低価値医療は、なにも医療機関の中だけの話ではありません。デマの健康情報に恐れおののいて受診する患者さんは、1日に何人も診ています。しかし、データを見せて説明しても、事前の擦り込みのせいか、なかなか信じてもらえないという問題にも直面しています。それだけデマの健康情報が派手で印象に残りやすいということなのでしょう。そういう意味で、医師が名前を出して、責任をもって一般向けの記事を監修することは重要です。これも、ある意味においてスチュワードシップの取り組みと言えると思います。
――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
伊東先生 私は低価値医療の撲滅を目指しているので、医療や生活習慣の価値(エビデンス)については人一倍注意深く吟味するようにしています。もし私の監修をご希望でしたら、ご指名いただけますと幸いです。私の監修はやや厳密なので大変かもしれませんが、ご指名の折には喜んでお引き受けしたいと思います。
まとめ
ヘルスケアに関するコンテンツ制作において、専門性が高い医師の監修を受けることはSEOや危機管理の面でとても重要です。
株式会社メディコレはオンライン完結の医師監修サービス、メディコレWEBを提供しています。
メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス「メディコレWEB」とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
メディコレWEBのサービス概要はこちら
「医療全体のスチュワードシップ活動の拠点を日本に創設したい」総合内科医としての思い
――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
伊東先生 もともとは医師になりたいという想いはあまり強くありませんでした。子供の頃から、自然の中でカブトムシを捕まえたり、ホタルを夜に眺めたり、ゴミ拾いボランティアに参加したりする日々で、将来は自然環境保護に関わる仕事をしたいと思っていました。ただ、自然環境保護に関わる仕事の名前が具体的に思い浮かばず、家族の後押しもあって医学部に進学しました。人命救助に汗を流す医師の姿に格好良さや憧れを感じることはあっても、自分には少し眩し過ぎるという印象を持っていましたね。今思えば、医師になって結果オーライだった面もあるのですが、そう思うに至るまでが茨の道だったように感じます。
――ご苦労をされながら、医師としての適性を見出したのですね。現在は総合内科医としてご活躍されていますが、総合内科の道に選んだ理由はありますか?
伊東先生 もともとは手先が器用だったこともあって外科を考えていましたが、外科は夜中に病院から呼び出されるのが当たり前で、心身の弱い自分には厳しいと感じました。それ以前に、病気を診るのは好きでしたが、人を診るのが好きでなかった。顕微鏡で微生物を眺めていたかったことや、メンターに恵まれたなどの理由で、最終的に感染症内科を選択しました。ところが、プログラムの定員の問題などに翻弄されているうちに、なぜか総合内科医として今は定着しています。人生はよく分からないもので、人を診るのが好きでないくせにまあまあ得意なので、総合内科医としての続投を世間からは求められているようです。
――先生が取り組まれている研究や臨床の様子について教えてください。

伊東先生 臨床現場に立つと、無駄な医療が多く行われていることに気がつきます。要らない検査をオーダーして、偽陽性に引っ掛かって、追加の検査や不要な治療を繰り返すという不毛なことをしているうちに、残業から抜け出せなくなる医師を多く見てきました。こういった低価値医療(low-value care)は、患者にも、医療従事者にも有害無益ですし、社会保障費の増大する日本では特に優先して削るべき医療サービスとも言えます。低価値医療の頻度や関連する要因を定量化して、撲滅しようという方向で臨床も研究も進めています。いわゆるスチュワードシップと呼ばれる運動で、奇しくも私が幼い時に心惹かれていた自然環境保護に近接する仕事ができているということです。
――臨床や研究現場で大事にしていることはありますか?
伊東先生 目の前の患者さんに全力を尽くすことは大切だと思います。ただし、それ以上に、その努力が有意義なものであるかという反省を誰よりも重視するようにしています。医療資源を湯水のように注ぎ込むことに傾倒した結果、10年後、20年後に誰も助けられなくなる未来が到来してしまうのは本末転倒かと思うのです。私自身は、まだ30代前半なので、老年人口が最大に達する2040年時点でも医療現場のプレーヤーです。既に余裕がないとはいえ、諸外国に比べると、まだ日本は恵まれている国のように感じます。いまのうちから、医療現場のスチュワードシップを推進して、この国の進むべき方向性を誤らないようにしたい。医療の部分最適よりも全体最適を大事にして、日々を生きています。
――医療の持続可能性については大きなテーマですので、スチュワードシップの推進もより注目度が上がりそうですね。先生がチャレンジしたいことはありますか?
伊東先生 スチュワードシップの問題点として、低価値医療をうまく定義できていないことが挙げられます。こうした専門的議題は、Delphi法という専門家集団でアンケートとフィードバックを繰り返して進めるべきものですが、専門家集団が既に高齢で医療現場のプレーヤーでないという問題が浮上しています。
現場レベルから低価値医療にまつわる提言ができる仕組みを作ることが急務です。加えて、既に定義されている低価値医療については、疫学の研究室と連携して実態調査を進めていく必要があります。低価値医療の出所が分かれば、そこをターゲットに、教育的介入やDX導入を行い、医療の質を向上させる。ゆくゆくは医療全体のスチュワードシップ活動の拠点を日本に創設したいですね。
――先生のVISIONを教えてください。
伊東先生 何度か触れてきましたが、私は心身ともに弱い人間です。それでも、周りの先生方に温かく支えていただいて、いままで生き残ることができました。日本の医療現場は多忙を極めていますが、その中で理不尽から守っていただいたお陰というわけです。その一方で、残念ながらキャリアを諦めてしまう医師も多く見てきました。そういった医師を助けることで、人手不足を少しでも軽減したいと考えています。
こうした取り組みに加えて、低価値医療を削減してさらに現場の負担を軽減することで、少ない医療資源でも数多くの患者さんと医療従事者が幸せになれるような医療現場を作りたいと思っています。これが、私の思い描く「持続可能な医療現場」の姿であり、生涯かけて仰ぎ見る目標です。
――先生はメディコレWEBの監修医として登録いただいていますが、どのような思いで協力していただいているのでしょうか?

伊東先生 低価値医療は、なにも医療機関の中だけの話ではありません。デマの健康情報に恐れおののいて受診する患者さんは、1日に何人も診ています。しかし、データを見せて説明しても、事前の擦り込みのせいか、なかなか信じてもらえないという問題にも直面しています。それだけデマの健康情報が派手で印象に残りやすいということなのでしょう。そういう意味で、医師が名前を出して、責任をもって一般向けの記事を監修することは重要です。これも、ある意味においてスチュワードシップの取り組みと言えると思います。
――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
伊東先生 私は低価値医療の撲滅を目指しているので、医療や生活習慣の価値(エビデンス)については人一倍注意深く吟味するようにしています。もし私の監修をご希望でしたら、ご指名いただけますと幸いです。私の監修はやや厳密なので大変かもしれませんが、ご指名の折には喜んでお引き受けしたいと思います。
まとめ
ヘルスケアに関するコンテンツ制作において、専門性が高い医師の監修を受けることはSEOや危機管理の面でとても重要です。
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