「女性が自分の性を、自分で選べる社会へ」産婦人科医・坂本愛子先生の思い

2026年6月25日

「女性が自分の性を、自分で選べる社会へ」産婦人科医・坂本愛子先生の思い

2026年6月25日

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、行徳総合病院 婦人科内視鏡室長の坂本愛子先生にお話を伺いました。

母の「自立しなさい」という言葉が、原点に

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。

坂本先生 子連れ再婚をして私を育ててくれた母に、「あなたはいざとなったら離婚もできるくらい、手に職をつけて自立しなさい」と言われ続けたことが、医師を志す大きなきっかけでした。半分は母の願望で医者になったようなものですが(笑)。

今では5人の子どもを育てる中で、日本社会のジェンダー不平等を実感する場面も多く、医師という選択は自分を守る力にもなったと感じています。今は、母の言葉に心から感謝しています。

――現在の診療科に進んだきっかけを教えてください。

坂本先生 幼少期から性暴力に遭遇することが多く、「社会が求める女性役割」に生きづらさを感じていた私は、女性の味方になりたいと思い、産婦人科を選びました。産科のある病院に勤務していたころは、飛び込み出産や若年妊娠など、生活背景に配慮が必要な妊婦さんとも多く関わりました。

現在は、性被害ワンストップ支援センターの連携医療機関としての急性期対応や、性虐待が疑われ保護された女児の診察も行っています。女性が性的弱者である現実を痛感する日々ですが、この領域に関われることは、自分にとって天職だと感じています。

――普段はどのような診療をされていますか?

坂本先生 子宮筋腫や卵巣嚢腫、骨盤臓器脱などに対する腹腔鏡や経腟手術を行う中で、トランスジェンダー医療を担う施設の少なさを痛感し、形成外科と協力してジェンダーセンターを立ち上げました。性別適合手術後に「戸籍の性別変更ができた」「就職できた」「好きな人と結婚できた」と感謝される中で、当事者の多くが社会生活そのものを制限されている現実を知りました。

また骨盤臓器脱は頻度が高いにもかかわらず手術対応できる医療機関が少なく、排尿・排便に関わるつらい症状を理解されずに我慢している女性も多い現状です。どちらも社会的ニーズが大きく、もっと広がるべき医療だと感じています。

すべての人に「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」を

――臨床で大事にしていることはありますか?

坂本先生 すべての人に「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」があり、子どもを持つか持たないか、生理や妊娠をどうコントロールするかなど、自分の性に関する選択を自分で決められる社会であるべきだと考えています。海外では多くの学生が低用量ピルを活用するように、女性がホルモン剤を味方にする知識は、日本でももっと広まる必要があります。

また自身の子育てを経験し、若い世代への性教育の重要性も強く感じてきました。若い人には、パートナーとの対等な関係性や性的同意、そして避妊の選択肢などについて知る環境がもっと必要だと考えています。学校や行政、保護者向けの講演活動にも取り組んでいます。

――現在チャレンジしていることを教えてください。

坂本先生 2026年から「イベント型ユースクリニック」を2か月に1回開催しています。近隣の精神科医や性教育に取り組む助産師、地域のボランティアとともに「ここケア@いちかわ」として運営しています。ユースクリニックはスウェーデン発祥の若者向け相談窓口です。

私たちのイベントでは薬剤提供はできませんが、メンタルヘルスや性に関する正確な情報を伝え、若者が自分で選択できる力を育むことを大切にしています。地域で若者を支える新しい形として、今後も継続していきたい取り組みです。

手術を必要とする女性に医療を届け、次世代へつなぐ

――先生が目指すVISIONを教えてください。

坂本先生 私が関わっている「骨盤臓器脱」と「性別不合(トランスジェンダー)」は、手術対応できる医療機関が少ない領域です。どちらも遠方から患者さんが来られ、生活の質が大きく改善するため、感謝の言葉をいただく機会も多い分野です。今後は、これらの医療を継続・発展させるための後継者育成に力を入れたいと考えています。

また、女性が抱える生きづらさや健康課題に社会から目が向けられるよう、医療者としてできる形で発信を続けていくことも、大切な役割だと感じています。

正しい情報が、自分を守る力になる――医師監修への思い

――先生はメディコレWEBの監修医として登録いただいていますが、どのような思いで協力いただいているのでしょうか?

坂本先生 健康情報は日々変化しており、生理や妊娠への治療や支援、性暴力への社会の理解も時代とともに変わってきています。こうした“今の状況”を反映したリアルな情報によって救われる人は確実に増えますし、産婦人科の現場にはまだ広く知られていない医療の実態や課題も多くあります。記事監修を通じて、女性の健康や権利について「知るきっかけ」を届け、より多くの人が自分の体を大切にできる社会に近づく一助になれればと思っています。

――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

坂本先生 女性特有の生理や体の悩みは、「なんとなく相談しにくい」「我慢すべきもの」と思われがちな風潮があります。でも、本来はどれも大切な健康の一部で、つらさを抱えたまま過ごす必要はありません。生理痛、避妊、妊娠、更年期、性暴力、ジェンダーの悩みなどは、誰にでも起こりうる身近なテーマです。

医療や社会の“いま”を知ることで、もっと楽に、自分らしく過ごせる場面が増えていくのではないかと感じています。もし今、不安や疑問があったら一人で抱え込まず、あなたに合う支援先をゆっくり探してみてください。

まとめ

健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。

株式会社メディコレの「メディコレWEB」は、専門医による監修をオンラインで手軽に受けられるサービスです。

メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

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