「正しい情報で、自分の健康を守れる人を増やしたい」産業医・金仁星先生の思い

2026年7月28日

「正しい情報で、自分の健康を守れる人を増やしたい」産業医・金仁星先生の思い

2026年7月28日

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、美容皮膚科・AGA治療に携わりながら、産業医として予防医学と健康リテラシーの普及に力を注ぐ金仁星先生にお話を伺いました。

金仁星先生の思い

父の背中を追って進んだ医師への道

インタビューでキャリアについて語る金仁星先生

――本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、医師を志したきっかけから伺えますか。

金先生 一番大きかったのは、父が勤務医だったことですね。腎臓内科で、透析などをやっていました。『資格を取れる仕事はいい』とよく言われて育ったので、最初のきっかけはそこです。

――お父さまの働く姿を、実際にご覧になる機会もあったのでしょうか。

金先生 高校生の頃、膝が痛くてMRIを撮りに父の職場へ行ったことがあるんです。そのとき、初めて父が働く姿を見ました。周りの方から『先生、先生』と慕われていて、すごいな、いい職業なのかもしれないな、と。それで医学部を受けようと思ったんです。

――当初は保険診療の道も考えておられたと伺いました。

金先生 そうですね。耳鼻科も面白そうだな、消化器内科のカメラ(内視鏡)も面白そうだな、と考えていました。ただ、研修中にいろいろと考えることがあって、進路が変わりました。

――何があったのでしょうか。

金先生 きっかけは大きく二つあります。一つは、働き出して上の先生方の働き方を間近で見たこと。『資格を取れば後は安泰だ』と言われて信じて頑張ってきたのに、50代、60代になっても決してそうは見えなかった。このまま進んでいいのだろうか、という漠然とした不安が芽生えたんです。

もう1つは、こちらの方が理由としては大きいのですが、研修1年目の12月に、父にがんが見つかったんです。3か月ほど、食べると吐いてしまう症状が続いていたのに、仕事が忙しくて検査に行けなかった。ようやく受診したときには、ステージ4でした。抗がん剤治療を行いましたが、1年経たずに――10か月で亡くなりました。

――ご自身の進路を、根本から考え直されたのですね。

金先生 病院にいつもいるのに、自分の検査には行けないほど忙しい。その事実にはやはり、割り切れない思いが残りました。父はがんが分かってからも、亡くなる2か月ほど前までずっと働いていました。そうした経験から、自分の人生とキャリアを改めて考えて、他の選択肢もあるのではないかと視野を広げていったんです。病院の外に出て、経営者の方の話を聞いたり、セミナーに足を運んだりするうちに、美容・自由診療の領域が自分の価値観や求める将来像に合っているのではないか、と感じるようになりました。

誠実に、必要な治療だけを施すことを大切に

検査結果について説明する金仁星先生

――現在はどのような診療をされていますか。

金先生 美容の分野では皮膚科領域が中心で、注入や肌のケア、レーザー治療などを行っています。加えて、化粧品やサプリメントに関わる方々とのご縁があり、一般の方向けに栄養やスキンケアについてのセミナーもさせていただいています。もう一つ、AGAのクリニックでは、マイクロスコープで頭皮や毛髪を診る診察が多いですね。

――患者さんと向き合ううえで、大切にされていることは何でしょうか。

金先生 自分が勉強した範囲で、正確な情報をきちんとお伝えすることです。必要ないと思ったら『必要ありません』とはっきり言いますし、クリニックの売上にならなくても、『こちらのケアをきちんとすれば良くなりますよ』とお話しします。

――目先の利益よりも、信頼関係ということですね。

金先生 そうですね。長い目線で考えて動いています。患者さんとの信頼関係を築くことを、何より優先したいと思っています。

予防医学に関わりたい思いから選んだ産業医

――今、注目していることやチャレンジしていることを教えてください。

金先生 産業医です。2年ほど前に資格を取り、昨年から実際に顧問として活動を始めました。私はこれまで、美容や見た目から入って、いわゆる『病気ではない方』と向き合ってきました。そこで『髪の毛が薬で生えるなんて知らなかった』ととても感謝されることがあって、知られていないことを伝える意義を強く感じたんです。

――それが予防医学への関心につながったのでしょうか。

金先生 はい。栄養のセミナーなどもそうですが、皆さん知らないからこそ、悪くなってから来られる。そうなると治療はしても100%元には戻りませんし、生活習慣病のように対症療法にならざるを得ない。それがとてももったいないと感じました。では健康な人にアプローチできる場所はどこかというと、クリニックではなく企業なんですよね。それで産業医をやろうと思い、今は顧問先を少しずつ増やしているところです。

――産業保健の現場には、どんな課題があるとお考えですか。

金先生 健康診断やストレスチェックは行われても、結果が出た後は『二次検診を受けてください』というご案内で止まってしまいがちです。実際、二次検診を受けない方は少なくありません。そこから先の解決策まで、ワンストップで届けられていないのが現状だと思います。

――データの活用にも可能性がありそうですね。

金先生 そうなんです。今は結果を個別に確認しているだけですが、きちんとデータとして整理できれば、集団分析もできますし、『この施策を行ったら健康診断の結果がこう変わりました』ということも見えるようになる。そういう形にしていきたいと考えています。

「正しい選択ができる人を増やしていきたい」ヘルスリテラシーへの思い

最新の医学情報を勉強をする金仁星先生

――先生が実現したいビジョンを教えてください。

金先生 予防医療への関心が高まっているとはいえ、二次検診を受けていない方は今も大半です。そして何より、正しい情報を選び取る知識――リテラシーが十分でないことが、大きな課題だと感じています。

――情報があふれる時代だからこそ、ですね。

金先生 ええ。SNSにも医療情報があふれていますが、その中には発信する側の事情が背景にあるものも含まれます。だからこそ、受け取る側が学んで、最低限の自己防衛ができるようになることが大切です。たとえばHPVワクチンは、海外では標準的に接種され、子宮頸がんの発症が大きく下がっています。日本ではまだ接種率が十分に戻っていない。こうした情報を、一人ひとりが自分で判断できるようになってほしい。ノイズに流されず、自分で正しい選択ができる人を増やしていきたい――それが私のビジョンです。産業医としてなら、アプローチできる人の数も増やせますから、コツコツと情報発信を続けていきたいですね。

――健康・医療情報の監修に、医師が関わる意義をどうお考えですか。

金先生 企業目線で見れば、プロダクトへの信頼につながるというメリットがあります。消費者から見ても、一定のクオリティが担保される。そして医師にとっても、仕事の幅が広がる。三方よしの、とても良い試みだと思っています。

――一方で、課題も感じておられるとか。

金先生 監修と銘打っていても、内容が十分に確認されていないケースを目にすることがあります。もし間違った情報が『監修つき』で広まってしまえば、かえって良くないと思います。だからこそ、クオリティコントロールがとても大事だと思うんです。私自身は、依頼を受けた記事はきちんと目を通して、『ここは変えてほしい』と率直にお伝えしています。プラットフォームを通じて、そうした質の担保がなされることに、大きな意味があると感じています。

――最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

金先生 やはり、皆さんが自分でリテラシーをつけて、自分の健康を守っていくことが大切だと思います。ぜひ個人でも学んでいただいて、信頼できる発信源を見極めてほしい。今はAIを使えば、極端におかしな情報はある程度ふるいにかけられますから、そうしたツールも活用しながら、ご自身とご家族の健康のために役立ててください。

そして企業の経営者や人事の方には、ご自身はもちろん、従業員の方々にも正しい情報を伝えていってほしいと思っています。そういう人が少しずつ増えていけば、世の中も変わっていく。私も活動を続けていきますので、ぜひ一緒に取り組んでいけたら嬉しいです。

まとめ

健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。

株式会社メディコレの「メディコレWEB」は、専門医による監修をオンラインで手軽に受けられるサービスです。メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

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