株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、傷と傷あとの治療に特化し、「傷あとで悩む人をなくしたい」という理念を掲げる形成外科医・村松英之先生にお話を伺いました。

アトピーに悩んだ少年時代に志した医師への道

――本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、医師を志したきっかけから伺えますか。
村松先生 やはり、子どもの頃のアトピーの経験が大きかったですね。2歳のときにアトピー性皮膚炎を発症したのですが、私が子どもの頃は、周りにアトピーの子がまったくいなかったんです。長野の田舎の出身で、良い治療法も分からず、親がいろいろな病院に連れて行ってくれたのを覚えています。
――当時は情報も少なかったのですね。
村松先生 ほとんど情報がない状況でした。食事療法もしていて、手も真っ黒で、いろいろなコンプレックスを抱えていました。給食もみんなと同じものが食べられず、一人だけ食べられなかったり。入院したこともありました。そうした経験から、少しずつ医師を目指すようになったんです。
――皮膚科ではなく形成外科に進まれたのは、どのような理由からでしょうか。
村松先生 一番は、大学時代に自分の担当になってくださった先生の影響です。形成外科の准教授の先生で、とても可愛がってくださいました。私の出身大学は形成外科がとても大きく、教授は口唇口蓋裂の治療で日本でも世界でも有名な方でした。全国から患者さんが集まってくるような環境で、常にその話を聞いていたことが一つのきっかけでした。
――手術に対する柔軟な発想にも衝撃を受けたそうですね。
村松先生 先生が紹介してくださる手術のアイデアの豊富さに、本当に驚きました。骨を繋ぐ、がんの部分を取る、というのではなく、“物を創り出す”。そこにすごく感動して、形成外科医になろうと思えたんです。
患者さんの経験を絶対に否定しないことを大切に

――現在のクリニックでは、どのような診療をされていますか。こ
村松先生 基本的に、傷あとに関わることが全てです。メインはレーザーと手術です。加えて、皮膚腫瘍や外傷も診ています。というのも、皮膚腫瘍を取った後の傷あとで悩まれる方が結構いらっしゃるので、できるだけ綺麗に取ることで、将来の傷あとの悩みにも応えたいからです。
――診療で最も大切にされていることは何でしょうか。
村松先生 患者さんのこれまでの経験を、絶対に否定しないことです。患者さんは、いろいろなところで相談し、治療を受けたうえで、当院に来られる方が多いんです。やけどにしても外傷にしても、その時の医療者は一番良かれと思って、経験と知識のなかで最善を尽くしている。それを後からいくらでも言うことはできますが、それは患者さんのこれまでの苦労や悩みまで、すべて否定することになってしまう。
――当時のベストを尊重する、ということですね。
村松先生 そうです。『どうして?』と思う場面もありますが、過去の経験はしっかりと最善を尽くした結果として尊重したうえで、今の自分に何ができるかにフォーカスして、必ずお話しするようにしています。
――外見だけでなく、内面にも配慮されていると伺いました。
村松先生 悩みは人それぞれで、外面と内面の二つの側面があると考えています。同じ傷あとでも、どう解釈するかは人それぞれ。こちらの解釈で判断しないことが、とても大切です。外見上は綺麗に見えても悩みが思いのほか深い方もいれば、ひどい傷あとでも全く悩んでいない方もいる。治療では、外面と内面の両方を必ず認識するようにしています。
レーザー・薬剤・再生医療――医療の進歩に寄せる期待

――今、注目されていることを教えてください。
村松先生 全体としては、レーザー治療がどんどん進歩していることが大きいですね。以前ならできなかったことが、レーザーでできるようになってきています。薬剤の進歩も大きく、たとえば以前は考えられなかった、へこんだ傷あとを薬剤で膨らませるようなことも可能になってきました。機械と薬剤の進歩によって、傷の治療は確実に前進しています。
――再生医療にも期待されているとか。
村松先生 はい。当院でも再生医療を使った治療を始めましたが、再生医療がしっかり確立してくれば、傷あとの悩みはほぼなくなるのではないかと思っています。たとえば、あるゾーン全体の皮膚を新しく再生できるようになれば、周囲とのコントラストがなくなり、ほとんど気にならなくなる。そういう未来に期待しています。
全国展開と、研究機関へ――目指すビジョン

――これから挑戦していきたいことを教えてください。
村松先生 本当にたくさんあるのですが(笑)、10年後のビジョンとしては、日本中に分院をつくること、そして研究機関になることです。当院は傷あとの治療ばかりを集めているので、圧倒的な症例数をもって研究し、データを取って発信する機関にしたい。日本ならではのホスピタリティを持つ傷あと治療は、悩みにとても強く寄り添えるものなので、海外の患者さんのお役にも立てると思っています。
――ほかにも構想がおありだとか。
村松先生 往診や訪問診療もやりたいですね。怪我をしてすぐ綺麗に処置してほしい、というニーズは大きいですから。それから、お子さんの全身麻酔下での治療。レーザー治療はお子さんだと動いてしまってできないことがあるので、環境を整えたい。人材も資金も必要で簡単ではありませんが、実現したい挑戦の一つです。
――企業とのコラボレーションについては、どうお考えですか。
村松先生 臨床の現場の“ペイン(課題)”を分かっている医師が関わることは、とても大事だと思います。よさそうに見えても現場で本当に使われない製品ができてしまうのは、企業にとっても本意ではないはずです。臨床のデータとペインを理解したうえで一緒に開発できれば、患者さんにも医療従事者にも、本当に求められるものが生まれると思います。
傷あとで悩む人をなくしたい

――先生が目指しておられる社会像を教えてください。
村松先生 傷の治療は、ほぼ全ての医療従事者にとって、絶対に関わらないことはない領域です。内科でも外科でも、傷あとには必ず関わってくる。ところが今は、傷あとを相談されても『形成外科へ』と橋渡しできる方が少ない。すべての医療従事者が、傷あとの相談を受けたときに、早期に形成外科へつなげられる――そんな社会になれば、傷あとで悩む人をなくせると思っています。それが当院の理念なんです。
――健康・医療情報の監修に、医師が関わる意義をどうお考えですか。
村松先生 大事ですよね。世の中には、合っているか合っていないか分からない情報があまりに多い。取捨選択が必要です。だからこそ、信頼できるところが情報発信することが大切ですし、医師はあまり自ら発信しないので、医師に代わって正確に発信してくれる仕組みがあるのは意義があると思います。
――特に慢性的な悩みを抱える方は、情報に頼りやすいとも言われます。
村松先生 アトピーのように悩みが深く、患者数も多い領域ほど、科学的根拠に乏しい情報に頼りやすい傾向はあると思います。まともな医師の言うことより、そうでない情報を信じてしまう方も少なくない。だからこそ、正しい知識を持つ専門家が発信を続けることが重要だと感じています。
――最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

村松先生 当院は『傷に悩む人をなくしたい』という理念のもとに運営しています。もし傷あとで悩んでいる方が周りにいらっしゃったら、『こんなクリニックがあるよ』とご紹介いただけたら嬉しいです。リストカットの傷あとでも、美容医療でついた傷あとでも、過去を後悔するような傷あとを持つ方も、決して否定することはありません。どんな傷あとでも、ご相談だけでも構いませんので、安心して来ていただければと思います。そして、この理念に共感して力を貸してくださる方――医療従事者も、スタッフも、企業の方も――ぜひお声がけいただけたら嬉しいです。
まとめ
健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。
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