株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、株式会社ゲノムクリニック 代表取締役(Co-CEO)で柏の葉ゲノムクリニック院長の曽根原弘樹先生にお話を伺いました。

iPS細胞に衝撃を受けて――研究者から医師へ

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず、先生が医師を志したきっかけを教えてください。
曽根原先生 もともとは基礎研究の人間で、筑波大学と東京大学で生命科学の研究をしていました。特に発生学――マウスを使って、受精卵から体ができていく過程を分子生物学的に研究していたんです。そのまま研究者になる道もあったのですが、一つのきっかけが、山中伸弥先生のiPS細胞でした。分野としても近く、出た瞬間に「これはノーベル賞だ」という衝撃的な論文で。これまで研究で使ってきた技術がどんどん医学に入ってくる世界が10年後に想像できて、これからは医学がさらに面白くなると感じ、医師になりたい気持ちが強くなりました。
当時、千葉大学と名古屋大学に、3年生から入って4年間で医師になれる研究医養成コースという制度がありました。それに応募して、千葉大学に入らせていただいたんです。専門は、もともと発生学をやっていたので産婦人科が一番近いだろうということで選びました。
――ゲノムに特化した診療を始められたのは、研究の背景が大きいのでしょうか?
曽根原先生 そうですね。私が高校生の頃にヒトゲノムが解読されたのが大きなニュースで、当時から「ゲノムをぜひやりたい」とずっと思っていました。ちょうど医師になった頃、一人のゲノムを読むのに何億円もかかっていた解析が、数万円〜数十万円になってきて、診療に使えるだろうと見えてきた。そこで、ゲノムに特化した大学発ベンチャーと診療所を立ち上げたいと考えました。
――事業会社と診療所、二本柱にされた理由を教えてください。
曽根原先生 最初は法人一本でやっていこうと思っていて、千葉大学も応援してくれて大学発ベンチャーとして立ち上げました。ただ、より医療に踏み込むには、診療所あるいは病院の機能が必要だと、走りながら分かってきたんです。たとえば、薬を処方したり診断を行なったりは法人ではできません。そこで、診療所機能を持つ『柏の葉ゲノムクリニック』を後から立ち上げ、株式会社ゲノムクリニックとの二本柱でやっています。
――現在はどのような検査を提供されているのですか?
曽根原先生 特にBRCA――アンジェリーナ・ジョリーさんで有名になった、乳がん・卵巣がんの強力なリスク遺伝子を調べる検査を法人で提供しています。実はこのBRCA検査が、事業を始めた大きなきっかけの一つでした。当時は20数万円かけないと受けられない検査だったのですが、それをぜひ5万円以内にしたかった。最先端の医療を提供すると同時に、患者さんが受け入れやすい価格にすることを、いつも大切にしています。
経営者として活動する傍ら、臨床も続けています。同級生が理事長を務める不妊治療外来で週2回、千葉大学附属病院でがんのクリニカルシーケンス(がんの遺伝子を読んで薬を見つける検査)のレポート作成を週1回。3拠点をぐるぐる回っています。
臨床ニーズを第一に――現場のペインから生まれるサービス

――サービス開発で大事にしていることはありますか?
曽根原先生 患者さんのニーズを汲み取りながら、同時に最先端の医療を提供する。その両者が交わるところを探すことですね。自分のやりたい“かっこいい解析”だけに偏らないよう、必ず臨床現場のニーズを忘れないように気をつけています。
医療のアンメットニーズは、結局のところ臨床現場にしかペインポイントがありません。だからこそ、医師や医療従事者でないと分かりにくい。ビジネスサイドの仮説だけで立ち上げると、現場の先生に試してもらって『違うよ』となり、皆が疲れて終わってしまう。ロジックよりも、患者さんが根源的に何を望んでいるか――不妊であれば『子どもが欲しい』という切実な思い――から立ち上げたほうがいい。そう考えています。
注目するのは、がんクリニカルシーケンスと出生前診断
――いま注目していること、チャレンジしたいことを教えてください。
曽根原先生 私の二大テーマは、生殖(不妊治療)とがんで、どちらもゲノム解析がとても重要です。がんでは、薬を使い尽くしてしまった方に対して次の薬を見つける『がんクリニカルシーケンス』が保険医療で始まりました。まだ出口(使える薬)が少ないのですが、その薬が増える兆しがあり、それがどこまで広がるのかに注目しています。
生殖の領域では、出生前診断ですね。調べられる遺伝子がどんどん増え、数十から数百の遺伝子を同時に調べる検査も出てきています。日本は比較的保守的な考えもある領域なので、こうした技術が社会にどう浸透していくのか――そこに技術と社会の両面から向き合っていきたいと思っています。
――プライベートでは先生はテニスを続けておられるそうですね。

曽根原先生 ええ、テニスが大好きで、小学生からずっと続けています。お恥ずかしながら、今はシニアのプロツアーも回っているんです。テニスは接触プレーが基本ないので、80歳、90歳まで現役で続けている方もいる。長く付き合えるスポーツですね。ただ、単純な長距離走とは違って、ストップ&ゴーを延々と繰り返すので、意外と疲れるんですよ。
――どのくらいの頻度で練習や試合をされているのですか?
曽根原先生 毎週月曜の夜、仕事のあと9時から11時くらいまで、必ずコーチについて練習しています。土日も時間があるときは、最近テニスを始めた息子と一緒に練習したり、関東を中心に試合に出たり。きちんとポイントがつくシニアツアーがあって、登録者は全国で3,400人ほど。その中で、これまで最高100位くらいまで上がったことがあります。
目指しているのは全日本選手権です。シニアの全日本はトップ30人ほどしか出られないのですが、いつか出場できるように、今もコツコツ続けています。
ゲノムを「健康診断のように」――目指す未来
――先生が実現したい未来、VISIONを教えてください。
曽根原先生 ゲノムは、平たく言えば臨床検査の一つなんです。採血で貧血を見るのと同じように。今は何か目新しいイメージがありますが、将来的には健康診断のような、ごく標準的な臨床検査になっていくと思います。
もちろん、検査をしただけで人が救われるわけではありません。けれども、私たちは『知ることで、救える命を増やす』をスローガンに掲げています。知ること自体は治療ではないけれど、その情報をもとに適切な行動を取ることで、救える命が増え、寿命を延ばしたり、QOLを上げたりできる。そういう未来を目指しています。
誤った情報が広まる前に――医師監修への思い
――一般向けの情報発信に、医療従事者が公開前に関わる意義をどうお考えですか?
曽根原先生 それはもちろんあると思います。特に『公開される前に』というのが重要で、いったん不十分な状態で公開されてしまうと、後から訂正しようとしても情報が一人歩きしてしまう。SNSでシェアされ、センセーショナルな情報ほどどんどん広がっていきますから。過度な制限は良くありませんが、特に医療系の、命に直結するような情報は、誤りが広まる前にしっかりチェックして出すことが重要だと思います。
――最後に、この記事を読んでいる方や企業の方へ、メッセージをお願いします。
曽根原先生 ゲノムや遺伝子をはじめ、新しい医療には常にアンテナを張っています。セカンドオピニオン的なご意見が必要なときや、共同研究・調査のご依頼も常にお受けしていますので、何かありましたらお気軽にご連絡ください。一緒に、知ることで救える命を増やしていけたらと思っています。
余談ですが、小学生の頃からテニスを続けていて、今はシニアのプロツアーも回っています。全日本選手権の出場を目指して、仕事の合間にコツコツ練習しています。何事も、現場で一つずつ積み重ねる――その姿勢は、医療もテニスも同じかもしれませんね。
まとめ
健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。
株式会社メディコレの「メディコレWEB」は、専門医による監修をオンラインで手軽に受けられるサービスです。メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。









