株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、久保田産婦人科病院の西野枝里菜先生にお話を伺いました。

「人に直接還元したい」研究者から医師に進んだ思い

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志したきっかけを教えてください。
西野先生 私はいわゆる学士編入で医学部に入りました。もともとは生命科学の研究者として、大学・大学院で約6年間、発生学の研究をしていたんです。生物学・生命科学に興味がある中で、将来それを生業にしていくかどうかを考えたとき、研究に没頭して専門性を高めていくよりも、自分が得た知識を直接人に還元したい、人と対話することのほうが自分には向いていて楽しいと感じました。
高校生の頃は自分が医者になるとはまったく考えていなかったのですが、生命科学の研究の延長として、医師という職業もいいのではないかと思うようになり、医学部に入り直したという次第です。
――その後、産婦人科に進まれます。きっかけを教えてください。
西野先生 実は学生の頃は皮膚科を目指していて、初期研修の最後には皮膚科の医局に入局するつもりでいました。ただ、研修の最後に妊娠をしていることがわかったのです。とても嬉しくてわくわくしていたのですが、おなかの赤ちゃんに重い障害があることがわかり、本当に悩んだ末に、妊娠を諦めるという選択をしました。
私にとって非常にショッキングで辛い出来事でしたが、逆に、同じような思いをする女性に寄り添いたいという気持ちが芽生えました。産婦人科を志す先生は、お産に感動して、あるいは手術で人を助けたくて、という方が多いのですが、私の場合は、辛い思いをしている女性に寄り添いたいという気持ちが強かったです。初期研修2年とその後1年のブランクを経て、4年目から本格的に産婦人科医としてのキャリアを始めています。
――産婦人科の道に進まれて、やりがいはいかがですか?
西野先生 研修医の頃は右も左も分からず、夜中まで呼ばれるようなハードな日々で大変でもありました。けれども、お産に立ち会える喜びや、とても早い週数で生まれてしまうような難しいケースの方々に寄り添えることにやりがいを感じていて、この科を選んでよかったと思っています。
地域に根ざして寄り添い、「求めていること」を見極める

――現在はどのような環境で診療されていますか?
西野先生 研修を終えた後、大学病院のような大規模施設ではなく、今いる久保田産婦人科病院に転職しました。大きな病院は、どちらかというと非常に早産の赤ちゃんを救いに行くような場が中心です。一方で私は、地域に根ざした産科の現場で、妊娠のごく初期の方や、早い週数で流産される方など、切実な悩みを抱える患者さんに丁寧に寄り添いたい。自分の最初の思いに合っているのは地域の病院だと思い、転職しました。思い通りの診療ができていると感じています。
――臨床現場で大事にしていることはありますか?
西野先生 患者さんはいろいろなことを求めて病院に来られますが、大きく3つのタイプがあると思っています。自分がどういう病気なのか「診断してほしい」人、とにかく「治してほしい・薬がほしい」人、そして困っているから「じっくり話を聞いてほしい」人です。もちろんどれか一つというわけではありませんが、初診でそのニーズを汲み取ることをとても大事にしています。今日はじっくり話を聞いてほしい方だから時間を取ろう、あるいは早く薬を出してほしいんだろうな、というのを見極めて、患者さんが満足できる診療を心がけています。
専門を掛け合わせる――産婦人科×麻酔×産業医
――いま注目していること、チャレンジしていることを教えてください。
西野先生 私は、研究を諦めた経緯にもあるように、一つのことにフォーカスして突き進んでいくのがあまり向いていないと思っていて、いろいろなことのコラボレーションで自分も高めていきたいタイプなんです。
妊娠初期の妊婦さんに寄り添いたいという軸は変わりませんが、そこから派生して、お産であれば無痛分娩が主流になってきているので、今は自分自身も麻酔の勉強をしています。ゆくゆくは麻酔もできるようにと考えています。また、妊娠しながら長く働き続ける女性を支えたいという思いから、産業医の活動もしています。
「産科・麻酔・産業医」の3本柱で医師として活動していきたいですね。一人ですべてを完結させるのではなく、いろいろな先生や職種と連携することで、より多角的に患者さんに寄り添い、知見も広げていけると考えています。
――健康相談でもAIの活用が広がっています。AIとの向き合い方について、どうお考えですか?
西野先生 AIによって業務が効率化され、働きやすくなっている面は、どの診療科でも言えると思います。ただ、特に婦人科は受診のハードルが高い診療科です。患者さんの視点に立てば、最終的には“人”だと思っていて、安心して受診してもらえるような信頼関係を築くこと、そのための対話が欠かせないと感じています。
それに、どんなにAIやDXが進んでも、医療現場は医師だけで成り立っているわけではありません。産科は医師がトップということではなく、助産師さんの力や、受付の方の対応一つで患者さんの印象も変わります。医療事故を防ぎ、円滑な診療を行うためにも、医師だけでなく助産師や受付スタッフを含めたチーム全体のコミュニケーションが本当に大切だと、日々感じています。
――先生が目指している未来、VISIONを教えてください。
西野先生 今の病院で働いていていいなと思うのは、妊婦さんが赤ちゃんを産んで、その子が大きくなったら、今度はピルの相談や月経困難症などで来てくれる――そんな長いお付き合いができることです。婦人科は受診のハードルがとても高いので、「あの病院に行ってよかった」という口コミから、当院でなくてもいいので、受診につながっていけばと思っています。
特に月経は、女の子にとって非常に早くから始まる身近な課題です。まだ小学生・中学生といった若い世代がいかに早く相談できるか。そこには親御さんの力も大きいので、親世代も含めて正しい知識が広まり、受診のハードルが下がればと本当に思っています。ピルについても、正しい知識が一つのきっかけになればうれしいです。
医師が関わることが、“正しさの目印”になる

――先生にはメディコレWEBの監修医としてご協力いただいています。医師が記事監修に関わる意義をどうお考えですか?
西野先生 やはり、正しい医療情報かどうかがとても大事だと思います。今は簡単に何でも調べられてしまう時代ですが、その中でどれが正しい情報なのかを取捨選択するのは、非常に難しい。だからこそ、医師が監修しているということは、信頼できる情報を見分けるための一つの“マーク(目印)”になると思っています。その目印の一つになれればと考えて、監修に協力しています。
――最後に、この記事を読んでいる方や企業の方へ、メッセージをお願いします。
西野先生 産婦人科はどこか敷居が高く、「この程度の悩みで受診していいのかな」と一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。しかし、月経のトラブルやPMS、妊娠・出産、更年期といった女性の身体の揺らぎは、日々の生活や働くパフォーマンスに深く直結しています。
私は産婦人科医としての臨床経験とともに、産業医として多くの働く方々の環境づくりに携わってきました。「働く人が心身ともに健やかであってこそ、笑顔で元気に活躍できる」というのが私の強い信念です。
情報が溢れる現代だからこそ、エビデンスに基づいた誠実で分かりやすい情報を届けることで、産婦人科への心理的ハードルを下げたい。「保健室の先生」のように親しみやすく寄り添い、「悩まずに相談してみよう」と安心して次の一歩を踏み出すきっかけになれるよう、想いを込めて医療監修を行っています。
まとめ
健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。
株式会社メディコレの「メディコレWEB」は、専門医による監修をオンラインで手軽に受けられるサービスです。メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。










