株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、いなばクリニック院長の稲葉岳也先生にお話を伺いました。

「自分のスキルで社会貢献を」――医師を志した原点

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。
稲葉先生 自分の持っているスキルを生かして社会に貢献したい、という思いが根本にあります。身内に医師が多かったこともあって、早い段階から「医療業界で働く」という進路は固まっていました。
――医師以外の道を考えたことはありましたか?
稲葉先生 医師以外であれば、やはり理系の資格職を目指していたと思います。手に職をつけて、専門性で社会の役に立つ――そういう働き方は、若いうちから自分の中で自然と決まっていました。
――最初は耳鼻咽喉科を選ばれたと伺いました。
稲葉先生 はい。メジャーな診療科は大人数の組織なので、その中に埋もれてしまう。自分の個性を出すのであれば、むしろマイナーな科のほうがいいと考えて、耳鼻咽喉科を選びました。耳鼻咽喉科は内科的な側面と外科的な側面の両方を学べて、研修当初は『すぐに手術ができる』ところにも面白さを感じました。日常的な診療から、頭頸部癌、敗血症のように全身的で命に直面するようなアグレッシブな場面まで、幅広く経験できたのは魅力でしたね。
――その後、レーザー治療へと専門をシフトされます。きっかけは何だったのでしょうか。
稲葉先生 もともと最初の診療科を選んだ段階で、皮膚科や形成外科など『いつかやりたい』と思っていた領域がいくつかあったんです。ちょうど30年ほど前、私が研修医の頃が、レーザー治療の黎明期で、その爆発的な技術の進歩というか、それまでとの違いに強く惹かれました。新しい、開業もできる専門領域だという意味でも魅力的で、もともと関心のあった皮膚・形成外科的な領域とも重なり、レーザー治療へと専門を移していきました。
横断的な治療から生まれたトータルアンチエイジングという発想
――現在は「トータルアンチエイジングクリニック」を掲げておられます。その理念を教えてください。
稲葉先生 診療科ごとに分かれた『縦割り』の医療は、ある意味で医師側や病気側の都合の領域だと思うんです。私はもともと一つの科にこだわっていなかったので、横断的に、患者さんの日常を元気に・健康にするというスタンスで診療したい。そう考えた結果、今の形になりました。
こうした形のクリニックを開いたのは、おそらく私が初めてぐらいだと思います。なにしろ20年前ですからね。寿命は延びている一方で、健康寿命とのギャップは大きい。外見を整えることだけでなく、体の内側からの健康と美しさ――そのギャップを埋めるような医療を大切にしています。
医師の都合を押し付けない――患者と向き合うマイルール

――患者さんと向き合う際に、決めているマイルールはありますか?
稲葉先生 こちらの都合を押し付けないことですね。患者さんには、やりたいように進めてもらう。治療することが必ずしも良いことではなく、治療しないことが良いこともありますから。だからこそ、患者さんの希望やスタンスをよく聞いて、一緒に考えるようにしています。
――現在チャレンジしていることとして、医療DXを挙げておられます。
稲葉先生 物価の高騰、人材不足、そして保険診療の持続可能性――いろいろなものが限界に近づいています。これを永続的に続けていくためには、業務をどこかで簡略化し、シンプルにしていかないといけない。そうした流れをいち早く取り入れてやっていくことを、日々検討しています。
一番の無駄だと感じるのは、保険のルール通りに行う事務作業です。自由診療はその負担がないので、保険診療の事務的な部分にこそDXが必要だと感じています。日々のオペレーションを簡略化し、今いるスタッフが長期的に働ける形にしていきたい。ただ正直に言えば、まだ期待通りに効率化を実現できるシステムや手法は確立されていなくて、結果が出ているとは言えません。患者さんの利便性を第一に考えた“真の医療DX”を、時代の流れを参考にしながら、慎重かつ積極的に検討し続けたいと思っています。
AI制作だとしても、医師が“自分の言葉”に変えて届ける――医師監修への思い
――健康記事の多くにAIが使われる時代になりました。医師が記事監修に関わる意義をどうお考えですか?
稲葉先生 AIが生成した情報は、あくまで参考にしかなりません。それを自分の言葉に変えて、患者さんに分かりやすく説明するところが、最終的に一番大切な点だと思っています。これは医師だけでなく、医療チームのサポートメンバーも含めて、きちんと話を通じ合わせ、言葉でやり取りすることが最終的には必要になってきます。
医師や医療チームが介入することで、誤った情報が世の中に出るのを未然に防ぎ、患者さんに安心感を提供できる。記事監修にはそうした意義があると感じています。診察室では、ドクターが目の前にいると敷居が高く感じられて、お金のことや本当にやりたいことなどの『本音』を言えない患者さんも少なくありません。記事を通じて、そうした診療のハードルを少しでも下げられたらとも思っています。
――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
稲葉先生 私は、日本の保険医療体制の先行きに対して強い危機感を持っています。国や従来の保険体制だけに頼るのではなく、自分自身の力で、時代に即した新しい医療の道を切り拓いていきたい。これからも、患者さんの日常を健康にするという原点を大切に、挑戦を続けていきたいと考えています。
まとめ
健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。
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