「予防医療を、若い医師が誇りを持って取り組める領域に」人間ドック専門医・小川和雅先生の思い

人間ドック・睡眠を専門とする小川和雅先生が病院内でカメラ撮影する様子

「予防医療を、若い医師が誇りを持って取り組める領域に」人間ドック専門医・小川和雅先生の思い

2026年6月22日
人間ドック・睡眠を専門とする小川和雅先生が病院内でカメラ撮影する様子

「予防医療を、若い医師が誇りを持って取り組める領域に」人間ドック専門医・小川和雅先生の思い

2026年6月22日

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、医療法人財団 野村病院 予防医学センター 所長補佐の小川和雅先生にお話を伺いました。

人間ドック・睡眠を専門とする小川和雅先生の医師としての想い

「目の前の人を助けられる力を身につけたい」医師を志した原点

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。

小川先生 医師を志した原点はシンプルで、「目の前の人を助けられる力を身につけたい」という思いでした。最初に呼吸器内科を選んだのも、急性期から慢性期、終末期まで幅広い患者さんを診られること、そしてアレルギー・感染・がんと病態の幅が広く、医師としての総合力が問われると考えたからです。

 虎の門病院では約10年間、高度急性期医療の最前線に立ちました。全力を尽くす日々でしたが、その中で一つ、もやもやした気持ちを抱え続けていたんです。

――どのような気持ちだったのでしょうか?

小川先生 どれだけ最前線で力を尽くしても、救えるのは目の前の患者さんに限られる、ということです。一人の医師が臨床でコミットできる範囲には、どうしても限界があります。それならば、もっと前の段階、多くの人が病気になる手前で関われれば、より広く貢献できるのではないか。そう考えるようになっていきました。

――現在は睡眠と予防医療を専門にされていますが、進路の転機はあったのでしょうか?

小川先生 大きく二つの転機がありました。一つ目は、虎の門病院時代に自分自身が重症の睡眠時無呼吸症候群と診断されたことです。これをきっかけに、睡眠医療にも携わるようになりました。

 二つ目は、子どもが生まれたことです。先ほどお話しした「もやもやした気持ち」に決着をつける時だと思いました。目の前の患者さんだけでなく、子どもたちが生きる未来の日本に少しでも働きかけられる仕事をしたい、と。中途半端な気持ちで臨床を続けたくはなかったので、臨床医の看板はいったん下ろし、思い切って予防医療へ軸足を移す決断をしました。

――大きな決断ですが、ためらいはなかったのですか?

小川先生 実は、医療者の間では健診は「楽な仕事」「引退後の仕事」と低く見られがちなんです。私が呼吸器内科から転身する際も、恐らく50回以上は「もったいない!」と言われました。途中から数えるのをやめたほどです。それでも、自分の納得できる道を選びました。

データへの厳密さと、目の前の相手に合わせる感性

人間ドック・睡眠を専門とする小川和雅先生が睡眠時無呼吸症候群の治療について説明する様子

――普段はどのような診療や研究をされていますか?

小川先生 現在は、吉祥寺にある野村病院予防医学センターという、長い歴史と年間3万人以上の受診者を擁する大きな健診センターに勤めています。日々の受診者対応はもちろん、日本人間ドック・予防医療学会の活動にも参加し、より広い視座から日本の予防医療に貢献したいと考えています。

 専門を変えた今も研究は絶やさず、自施設のデータを用いた臨床研究を続けています。とくに睡眠と生活習慣病の関わりは、長年取り組んできたテーマです。臨床医の看板は下ろしたと言いましたが、睡眠は予防との親和性が高く、無呼吸の当事者でもある自分が睡眠や無呼吸の重要性を啓発することは使命だと考え、睡眠専門医としての診療は続けています。

――臨床で大事にしていることはありますか?

小川先生 最も大切にしているのは、医学的根拠に基づく診療です。科学的な論拠に基づく視座を失えば、健診は正しい予防医学ではなくなってしまう。一般論だけではなく、自分の手元のデータでも語れる医師でありたいと考えています。

 一方で、臨床はエビデンスだけで完結するものではありません。同じ検査結果でも、その人が大切にしている価値観によって、最適な選択は変わります。極論を言えば、健康でも幸福ではない人はいる。データ上の健康のための健康ではなく、ウェルビーイングのための健康であるべきだと思うんです。データへの厳密さと、目の前の相手に合わせて調整する感性。その両方を失わないようにすることが、私が一番大切にしている姿勢です。

――現在チャレンジしていることを教えてください。

小川先生 一つは、研究を続けることです。大病院ではない環境で研究を継続することは想像以上に難しいのですが、科学的な視座を保つために手を止めないようにしています。

 もう一つは、予防や睡眠、健康経営に関する啓発です。目立つことは得意ではなく、できれば避けたいタイプなのですが、専門家として正確な情報を届けることもまた職務の一つだと考えるようになりました。一般の方に予防や睡眠の知識を届けること、医療者の間でも意識を高めること、そして企業に「健康経営」を根付かせること。日々の臨床の傍ら、こうした発信も地道に積み重ねていきたいと考えています。

「予防・健診を、若い医師が胸を張って取り組める領域に」

――先生が目指すVISIONを教えてください。

小川先生 本来、予防や健診には専門的な知識が求められるものです。それにもかかわらず、「当直がないから」というだけの理由で健診医になったり、特に研鑽を積むこともなく片手間に行う医師も少なくないようです。

 だからこそ、将来、予防・健診を、若い医師が胸を張って本業として取り組める領域にしなければならないと考えています。この国に正しい予防医療が根付き、さらにその先には、病気の原因を社会の環境からつくらせない「0次予防」にまで踏み込むお手伝いができたら、と思っています。

AI時代だからこそ、医師が一次情報に基づいて記事の質を担保する

人間ドック・睡眠を専門とする小川和雅先生が患者に対して治療方針を説明する様子

――先生はメディコレWEBの監修医として登録いただいていますが、どのような思いで協力いただいているのでしょうか?

小川先生 医療情報を正しく読み取ることは、専門家にとっても本当に難しいものです。AIの時代になり、もともとデータを正しく読み取る力のある人がAIをうまく活用できれば、正しい情報に容易に、大量にアクセスできるようになりました。

 しかし裏を返せば、データを読む力とAIを使いこなす力、そのどちらかでも欠けていると、かえって正確な情報にたどり着くことが難しくなる時代でもあります。だからこそ、医師が一次情報に基づいて記事の質を担保することには意味があると考えています。一度専門家への信頼が揺らいでしまえば、お互いに不幸です。これからの時代は、医療従事者などの専門家は責任感を持って、これまで以上に正しい情報分析能力を磨くべきだと、自戒も込めて考えています。

――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

小川先生 タバコを吸わない、しっかり眠る、運動習慣をつくる、定期的に健診を受ける——地味でも、科学的に確立されたことを淡々と続けることが、実は一番効果があったりします。無理に「最先端」に飛びつく必要はないのです。

 一方で近年は、これまで生活習慣の結果と思われていた多くの病気に、生まれ持った遺伝的な影響がかなりの部分関わっていることも分かってきました。医学的根拠に基づいて、できること、やるべきことはやる。しかしそれ以上は、自分の力で変えられないことまで気に病んだり自責する必要はありません。余白を持ちながら、自分の体を時々客観的に知る習慣を持つこと。それが、長く健やかに生きるための第一歩だと思っています。

まとめ

健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。

株式会社メディコレの「メディコレWEB」は、専門医による監修をオンラインで手軽に受けられるサービスです。

メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

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