「救命のその先、子どもの人生まで見据えた新生児医療を」小児科医・難波文彦先生の思い

新生児医療を専門とする難波文彦先生が取材に応える様子

「救命のその先、子どもの人生まで見据えた新生児医療を」小児科医・難波文彦先生の思い

2026年6月22日
新生児医療を専門とする難波文彦先生が取材に応える様子

「救命のその先、子どもの人生まで見据えた新生児医療を」小児科医・難波文彦先生の思い

2026年6月22日

株式会社メディコレが目指す、誰もが安心できる医療情報に触れることができる社会には、情報を監修する医師の力が欠かせません。今回は、埼玉医科大学総合医療センター 小児科教授/総合周産期母子医療センター 副センター長の難波文彦先生にお話を伺いました。

新生児医療を専門とする難波文彦先生の医師としての想い

人生の最も重要なスタート地点に関わる――新生児医療の魅力

新生児医療を専門とする難波文彦先生とチームの皆さん

――本日はお時間いただきありがとうございます!まず初めに、先生が医師を志した理由を教えてください。

難波先生 正直に言うと、小学校の卒業文集には「医者になってお金を儲けたい」と書いていました(笑)。ただ、医師という職業を意識するようになった原点は、父から渡されたアルベルト・シュバイツァーの伝記だったと記憶しています。人のために生きるという姿勢に、幼いながらも感銘を受けました。

その後、医学を学ぶ中で、病気を治療するだけでなく、患者さんやご家族の人生に寄り添えることが、医師という仕事の大きな魅力だと感じるようになりました。現在もその責任の重さとやりがいを感じながら、日々の診療と研究に取り組んでいます。

――現在の診療科に進んだきっかけを教えてください。

難波先生 小児科を選んだ理由はとても単純で、子どもが好きだったからです。そして新生児科を専門にすることになったきっかけは、実は医局人事でした。しかし結果的に、新生児・周産期医療を選んだことを一度も後悔したことはありません。

新生児医療には、いまだ解明されていない課題が数多く残されています。また、出生直後という人生の最も重要なスタート地点に関わる分野でもあります。私たちの診療や研究が、その後何十年にもわたる人生に影響を与える可能性があることに、大きな責任とやりがいを感じています。その責任の重さと未知への挑戦こそが、新生児医療の大きな魅力だと思っています。

――普段はどのような臨床や研究をされていますか?

難波先生 埼玉医科大学総合医療センターのNICUにおいて、超早産児や重症新生児の診療に携わっています。研究面では、新生児慢性肺疾患、超早産児の呼吸管理、未熟児動脈管開存症(PDA)などをテーマに、多施設共同研究や臨床試験を進めています。

特に、救命率の向上だけでなく、子どもたちがより良い人生を送るための医療の実現を目指して研究に取り組んでいます。また、国際共同研究や海外学会活動にも積極的に参加し、日本の周産期・新生児医療の経験や成果を世界へ発信するとともに、海外の知見を日本の医療へ還元することにも力を入れています。

経験だけに頼らず、科学的根拠で判断する

――臨床や研究で大事にしていることはありますか?

難波先生 常に「その医療が本当に子どもと家族の利益につながるか」を考えるようにしています。経験は重要ですが、それだけに頼るのではなく、科学的根拠に基づいて判断する姿勢を大切にしています。一方で、新生児医療では家族の不安や価値観への配慮も欠かせません。

研究においても、現場の課題を解決できるテーマを重視し、診療と研究が相互に発展することを目指しています。また、救命率や短期的な治療成績だけでなく、子どもたちが成長した後の生活の質(QOL)や社会参加にも目を向け、必要に応じて当事者やご家族に寄り添いながら、支援やアドボカシーにつなげていきたいと考えています。

――現在チャレンジしていることを教えてください。

難波先生 周産期・新生児医療の進歩により、以前は救命が難しかった超早産児や重症新生児も助かる時代になりました。しかし、私たちの目標は単なる救命ではありません。後遺症なく成長できる「intact survival」の向上はもちろん、その後の小児期や成人期にどのような生活を送り、どのような生活の質(QOL)を得られているのかを明らかにすることが重要だと考えています。

当事者やご家族が生きづらさや生活上の困難を抱えているのであれば、その実態を把握するだけでなく、医療者として寄り添い、ともに声を上げていくことも大切な役割です。現在は、未熟児動脈管開存症に対する多施設共同ランダム化比較試験、新生児慢性肺疾患の長期予後研究、22〜23週出生児の国際比較研究などに取り組みながら、救命後の人生まで見据えた新生児医療の実現を目指しています。

世界トップレベルの日本の医療を、エビデンスとして発信する

サッカーユニフォームを着る新生児医療を専門とする難波文彦先生

――先生が目指すVISIONを教えてください。

難波先生 日本の周産期・新生児医療は世界的にも極めて高い水準にあり、多くの超早産児や重症新生児の命を救ってきました。しかし、その優れた医療がなぜ成果を上げているのか、どのような診療やケアが長期予後の改善につながっているのかについては、まだ十分に世界へ発信できていません。

私の使命は、世界トップレベルと評価される日本の周産期・新生児医療を科学的根拠によって裏付け、国際的なエビデンスとして発信することです。そして、救命率の向上だけでなく、子どもたちが成長した後の健康や幸福、社会参加まで含めた、真のアウトカム改善を目指したいと考えています。さらに、当事者やご家族の声にも耳を傾けながら、生きづらさや生活上の困難があるのであれば、その解決に向けた支援や制度づくりにつながるアドボカシー活動にも貢献していきたいと思っています。

不安なときは、専門家と一緒に考える――医師監修への思い

――先生はメディコレWEBの監修医として登録いただいていますが、どのような思いで協力いただいているのでしょうか?

難波先生 インターネット上には多くの健康情報がありますが、その中には医学的根拠が十分でない情報も少なくありません。医療従事者が監修に関わることで、正確で信頼できる情報を社会へ届けることができると考えています。特に小児医療や周産期医療では、不安を抱えながら情報を探しているご家族も多く、専門家による情報発信の意義は大きいと感じています。

私自身、日々の診療の中で「もっと早く正しい情報にたどり着けていれば」と感じる場面を経験してきました。正しい情報をわかりやすく伝えることで、適切な受診行動や健康リテラシーの向上につなげ、少しでも多くの方の安心に貢献できればと思っています。

――最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

難波先生 医療は日々進歩していますが、最も大切なのは一人ひとりに合った医療を選択することです。インターネットの情報は便利ですが、不安や疑問がある場合は、ぜひ医療機関に相談してください。特に子どもや新生児の医療では、ご家族だけで悩まず、専門家と一緒に考えることが重要です。

子どもたちの健やかな成長は、ご家族と医療者がともに歩むことで支えられます。この記事が、皆さまの健康や子育てに少しでもお役に立てば幸いです。

まとめ

健康・医療に関する情報があふれる今、コンテンツの正確さと信頼性はかつてないほど重要になっています。専門医による監修は、誤った情報が読者の判断に影響するリスクを未然に防ぐだけでなく、検索エンジンからの信頼性評価にもプラスに働きます。

株式会社メディコレの「メディコレWEB」は、専門医による監修をオンラインで手軽に受けられるサービスです。メディコレWEBについて、「オンライン完結!メディコレの医師監修サービス『メディコレWEB』とは?」でも紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。

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